カボメティクスを服用しているときに、以下の症状がみられることがあります。
カボメティクス服用中に比較的起こりやすい症状
気になる症状がありましたら、ただちに医師・薬剤師・看護師にご相談ください。自己判断でカボメティクスの量を減らしたり、中止したりしないでください。
カボメティクス服用中に比較的起こりやすい
主な症状の発現時期(目安)
日本人を対象とした臨床試験で認められた、主な症状の発現時期を示します。ただし、発現時期は一般的な目安であり、実際の発現時期はお一人おひとりで異なります。カボメティクス服用中は、気になる症状がないか、ご注意ください。
主な副作用とその対策
カボメティクスを服用しているときに以下の症状や何らかの不調がみられたら、医師・薬剤師・看護師に相談してください。自覚症状の少ない副作用もありますので、医師の指示に従い、定期的に検査を受けるようにしてください。
手足症候群(てあししょうこうぐん)
手足に普段とは異なる次のような症状があらわれることがあります。
・手足が赤くはれる、むくむ、水ぶくれができる、表面が硬くなってガサガサする
・手足がしびれる、痛む、チクチク、ピリピリするような感覚がある
・爪が変形する、色素が沈着する
このような症状は、手足症候群というおくすりの副作用である可能性があります。なぜ起こるかはよくわかっていません。
●日頃から気をつけておきましょう
手の指先やかかとなど、力のかかるところや摩擦が生じるところにあらわれやすいことがわかっています。予防・悪化防止のため、以下のことを心がけましょう。
・手足に過度な刺激を与えないように、手袋や厚手の靴下で手足を保護する
・やわらかい材質でできた靴をはく、きつい靴下をはかない
・乾燥を防ぐため、保湿剤を用いて皮膚を保護する
・手足を刺激しないように、熱いお風呂やシャワーを控える
手足症候群は、気づかずに放置していると、症状が重くなることがあります。普段からご自身の手足をよく観察しておきましょう。
●症状に気づいたら
皮膚軟化軟膏、角質除去軟膏や保湿クリームを塗ることで悪化を防ぐこともできますので、少しでも違和感を感じたら、医師・薬剤師・看護師に相談しましょう。
※手足症候群が起こりやすい時期については、「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
手足症候群の予防及び治療について解説した動画です。こちらもご参照ください
解説動画:がん治療における血管新生阻害薬の副作用(手足症候群)
下痢
水分が多い便(水様便)や泥状の便、血がまじった便などが出ることがあります。また、ときに腹痛を伴うこともあります。
下痢は、病気の影響で起こることもありますが、おくすりの副作用である可能性もあります。
●日頃から気をつけておきましょう
胃やお腹を刺激する可能性がある食べ物の摂取や冷たいものの食べ過ぎ・飲み過ぎは控え、消化のよいもの、整腸作用のあるもの(乳酸菌飲料など)をとるようにしましょう。また脂肪分の多い食べ物の摂り過ぎにも注意しましょう。
●下痢が起こったら
・下痢が続くと体の中の水分や電解質が失われ、脱水症状(めまい、ふらつきなど)や栄養障害が起きたりします。白湯などの温かい飲み物、スポーツドリンクでこまめな水分補給を心がけましょう。
・お腹への負担を減らすため食事の内容を工夫したり、1回の食事の量を減らして回数を増やすなど、食事のとり方も工夫してみましょう。
・下痢が続くと体力を消耗するため、休息を十分にとることも大切です。
・下痢止めのおくすりの使用については、医師の指示に従ってください。
・下痢に備えるためにおくすりを処方してもらっておくことも大切です。
・重症になると全身症状(脈が速くなる、血圧が低下するなど)があらわれることがありますので、重症化する前に医師・薬剤師・看護師に相談しましょう。
※下痢が起こりやすい時期については、「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
血圧の上昇
血圧が高くなることがあります。定期的(朝・晩など)に血圧を測定することが重要です。
高血圧には特別な症状はありませんが、めまい、頭痛、肩こりなどの症状があらわれることがあります。
もともと血圧が高い場合は特に、血圧の上昇に気をつけてください。また、血圧のおくすりが処方されている場合は、わすれずに、処方どおりに服用してください。
●日頃から気をつけておきましょう
医師は血圧の測定を定期的に行って、血圧の変動を確認しながら治療を進めていきます。ご自身も定期的に血圧を測る習慣をつけておき、血圧の値を常に把握しておきましょう。また、食生活の見直し(栄養バランスを意識した食事)、特に減塩を心がけることも大切です。
※ご家庭で測った場合は最高血圧135mmHg以上、最低血圧85mmHg以上(病院で測った場合は最高血圧140mmHg以上、最低血圧90mmHg以上)が高血圧症とされています。
※血圧上昇が起こりやすい時期については「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
また、「日常生活で気をつけること」「塩分を控える・血圧を管理する」もご参照ください。
目や肌の色が黄色い、尿の色が濃いなど
目や肌の色が黄色い、尿の色が濃い、発疹・かゆみなどの症状があらわれることがあります。
このような症状が急にあらわれたり持続したりする場合は、おくすりの副作用で肝臓の機能に影響が出ている可能性があります。また、AST・ALTの上昇といった肝機能検査値の異常としてあらわれることもあります。
※ASTとALTは肝臓の細胞中に含まれている酵素で、肝臓の細胞が壊されたときに血液中にもれ出てくるため、肝臓の機能を示す指標とされています。
●日頃から気をつけておきましょう
医師は血液検査を定期的に行って、肝臓の機能を確認しながら治療を進めていきますが、目や肌の色、尿の色などの変化に気づいたときや心配なことがあるときは、医師・薬剤師・看護師に相談しましょう。
※これらの症状や肝機能検査値異常が起こりやすい時期については、「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
疲れ
強い疲れやだるさなどの症状があらわれることがあります。
疲れやだるさなどは、病気による身体的・心理的ストレスに加え、おくすりの副作用によってもあらわれることがあります。
疲れがつらいときには、おくすりの量を一時的に減らすことも可能ですので、医師にご相談ください。
●疲れやだるさなどを感じるときは
無理をせず、心身を休ませることを一番に考えてください。しなければならない家事や作業などは、疲れを感じることが少ない時間帯に、優先順位が高いものから行うことをおすすめします。また、ご自身に合った方法をみつけて、心身をリラックスさせることも大切です。
※疲れが起きやすい時期については、「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
足のむくみ、尿の泡立ち、めまいなど
足のむくみ、尿の泡立ち、めまい、頭痛などの症状があらわれることがあります。
このような症状があらわれた場合は、おくすりの副作用で腎臓の機能に影響が出ている可能性があります。また、尿検査で「蛋白尿」としてあらわれることもあります。
●日頃から気をつけておきましょう
腎臓のはたらきの一つに、血液中の老廃物をろ過して尿として排泄する機能があります。
このろ過機能が低下すると、通常はろ過されることがないタンパク質が尿にもれ出てくることがあります。この現象を蛋白尿といいます。尿に蛋白が多く含まれていると、尿が泡立つことがあります。腎臓の機能が低下して、塩分や水分の排泄が十分に行われないときは、むくみとなってあらわれます。
医師は尿検査を定期的に行って、腎臓の機能を確認しながら治療を進めていきますが、足のむくみなどの症状に気づいたときや心配なことがあるときは、医師・薬剤師・看護師に相談しましょう。
※これらの症状(蛋白尿)が起こりやすい時期については、「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
吐き気・嘔吐(おうと)
ムカムカする・吐きそう、または実際に吐いてしまったりすることがあります。
このような症状は、病気の影響で起こることもありますが、おくすりの副作用である可能性もあります。
●日頃から気をつけておきましょう
胃に負担をかけないよう刺激のある食べ物や脂っこい食べ物を控え、消化のよいものを選ぶことが大切です。化粧品、芳香剤、お部屋にこもったにおい、食べ物のにおいや見た目が吐き気や嘔吐を引き起こすこともあります。食材や調理方法などについて、栄養士に相談してみましょう。
●吐き気を感じたら
吐き気を感じたら、胃やお腹を圧迫しないように衣服をゆるめ、横になったり、楽だと思う姿勢をとったりしましょう。冷たい水でうがいをするのもよいかもしれません。嘔吐が続くときにはまたこまめな水分補給を心がけましょう。
※吐き気や嘔吐が起こりやすい時期については、「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
食欲不振(しょくよくふしん)
食事をとれない、食べる気がしないといった症状があらわれることがあります。
このような食欲不振は、不安やストレスによる心理的な変化で起こることもありますが、おくすりの副作用である可能性もあります。
●食欲がないときは
無理して食事をとる必要はありません。好きなもの、食べられるものを探して、少しずつ数回にわけて食べるようにしましょう。何かわからないことがありましたら、医師・栄養士に相談してください。
※食欲不振が起こりやすい時期については、「カボメティクス服用中に比較的起こりやすい主な症状の発現時期」をご参照ください。
その他注意が必要な副作用
頻度は高くありませんが、カボメティクスの服用中に以下の症状がみられることがあります。以下の症状に気づいたら、ただちに医師・薬剤師・看護師に連絡してください。
認知能力や判断能力の低下などを感じたら
「肝性脳症」の可能性があります。肝臓の働きが低下し、本来は肝臓で代謝・分解されるはずの有毒物質が処理されずに脳に入りこむことがあります。その結果、脳神経機能が低下し、認知能力や判断能力に影響を及ぼします。
突然の激しい腹痛や圧痛(押すと痛い)などの症状があらわれたら
「消化管穿孔・瘻孔」の可能性があります。
これは、胃や腸などの消化管の壁に穴が開き、消化中の食べ物や便などが外にもれ出た状態のことです。
鼻血が出る、歯ぐきから血が出る、青あざができる、血尿・血便があるなどの症状があらわれたら
おくすりの影響で、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなっているかもしれません。
・転倒やケガをしないよう十分注意しましょう。
・毛先のやわらかい歯ブラシを選びましょう。
・体を圧迫する衣服を着ないようにしましょう。
※「日常生活で気をつけること」「出血に注意しましょう」もご参照ください。
息苦しさ、胸痛、冷や汗や、足のはれ・痛み・肌の色が変化したなどの症状があらわれたら
「血栓塞栓症」の可能性があります。
これは、静脈や動脈に血液のかたまり(血栓)ができて血流が止まってしまったり、血栓が血液の流れにのって運ばれていき、行きついた場所の血管をふさいでしまう病気のことです。ふさがれた血管の部位によってさまざまな症状があらわれます。
頭痛、意識障害、けいれん、視覚障害などの症状があらわれたら
「可逆性後白質脳症」の可能性があります。
これは大脳の後頭葉白質という部分が障害される病気です。この脳症による症状は軽快・消失するため、「可逆性」とされています。
あごのはれ・痛み・歯がゆるむなどの症状があらわれたら
「顎骨壊死」の可能性があります。
これは、あごの骨の壊死がおこり、細菌による感染がおこった状態です。抜歯などの歯の治療に関連してあらわれることがあるので、歯科を受診する際には、このおくすりを服用していることを歯科医師に告げましょう。
普段と異なる症状や体調の変化を感じたときは、すぐに医師・薬剤師・看護師に連絡してください。症状をやわらげるためのおくすりを使うなど、いろいろな対応策をとることができます。症状のことで悩むことがあったらがまんしないで、医師・薬剤師・看護師に相談し、適切な対策をとりましょう。