細胞が生き、増殖するためには、酸素と栄養素を血管から取り入れる必要があります。がん細胞は、増殖し続けるために大量の酸素と栄養素を必要とし、そのため「血管を作るために必要な因子」を自ら産生・放出して、もともとある血管から新たな血管(新生血管)を引き込み、酸素と栄養素を大量に取り入れようとします。この「新生血管を作れ」というシグナルを送る因子の代表的なものが「血管内皮細胞増殖因子( VEGF)」です。
腎細胞がんでは、がんを抑制する遺伝子に異常が起こっています。この遺伝子の異常で、VEGFが大量に産生されるようになり、新生血管がたくさん形成されます。そうすると、がん細胞が活発に増殖できるようになり、周囲に浸潤したり、新生血管を通じて血管に入り込み、ほかの組織や臓器に転移したりするのです。
さらに、腎細胞がんでは、同じく新生血管の形成にかかわるMETおよびAXLという分子が異常に活発になっていることがわかっています。