CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)・MMN(多巣性運動ニューロパチー)の原因
CIDPとMMNは、末梢神経のミエリン(髄鞘)が免疫系によって障害されることが原因で起こると考えられています。
神経系では、神経細胞から他の神経細胞へと、とても多くの情報が伝達されています。その情報は、電気信号という形で伝達されます。
神経細胞は、他の神経細胞に信号を送る役割を持つ軸索などの部分から構成され、軸索は、ミエリンという脂質に富んだ物質がまわりをおおって保護しています。CIDP・MMNは、そのミエリンを、体に備わっている免疫系が“敵”とみなして攻撃してしまうことで起こると考えられています。
本来自己と異なるもの(異物)を排除する役割を持つ免疫系が、自分自身の組織であるミエリンを攻撃してしまうことから、CIDP・MMNは、自己免疫疾患に分類されています。
体を守るはずの免疫系が、なぜ自分の組織を“敵”とみなしてしまうのかについては、よくわかっていませんでした。しかし、最近の研究で、CIDP患者さんのうち、この病気に特異的な自己抗体を持つ患者さんがいることがわかってきました。すなわち、免疫系が自己抗体を作って、自分の神経を攻撃してしまうことが病気の発生原因に関係している可能性があることが示されつつあります。
CIDP・MMNの原因
※
ミエリンが脱落することを「脱髄」といいます。
CIDPやMMNは、ミエリンが脱髄することが原因で発症するため「脱髄性疾患」又は炎症も関係しているため「炎症性脱髄性疾患」にも分類されます。
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自己抗体ってなに?
体内に入ってきたウイルス、細菌などの異物を攻撃・排除するために作られるタンパク質のことを抗体といいます。「免疫グロブリン」とも呼ばれています。
自己抗体は、自分自身の体の組織に対して攻撃してしまう抗体のことです。