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CIDP・MMNを知る CIDP・MMNの発症の特徴は? どのような症状が生じるの?

CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)の発症の特徴

CIDPには、典型的なタイプと非典型的(バリアント、亜型)なタイプがあります。非典型的なタイプは、さらに様々なタイプに分かれます。

最も多いタイプの典型的CIDPは、運動障害と感覚障害の両方が、手足(四肢)の左右どちらにも(左右対称的に)同程度に、体幹に近い部位(二の腕、太ももなど)にも体幹から遠い部位(手先、足先など)にも広範囲にあらわれます。

非典型的なタイプには、障害が左右非対称であるタイプ、体幹から遠い部位が主に障害されるタイプ、運動障害のみのタイプ、感覚障害のみのタイプ、障害の範囲が限定的であるタイプがあります。

CIDPの特徴:障害のあらわれ方(発症)

※非典型的(バリアント、亜型)

MMN(多巣性運動ニューロパチー)の発症の特徴

MMNでは、手足の運動障害が、体幹から遠い部位(特に上肢)に、左右非対称にあらわれます。MMNでは、感覚障害による症状はないか、あっても軽度です。
手が使いづらいといったことから症状があらわれることが多く、進行すると徐々に筋肉がやせていくこと(筋萎縮)があります。また、気温が低い、冷たいシャワーを浴びるなどの寒冷時にはまひが悪化したり、疲れやすくなったりするといったことも特徴として挙げられます。

MMNの特徴:障害のあらわれ方(発症)

CIDP・MMNの症状

CIDPは、末梢神経のうち、運動神経と感覚神経が障害される病気です。
MMNでは、主に運動神経が障害されます。
CIDPとMMNでは、どこの運動神経又は感覚神経が障害されるかによって様々な症状が生じます。

運動神経の障害~手足の脱力・筋力の低下・筋萎縮~

末梢神経のうち、運動神経が障害されることにより、手足の脱力(力が入らない)や筋力の低下、筋肉のやせ(筋萎縮)が起こり、様々な症状となってあらわれます。

手足の脱力(力が入らない)・筋力の低下・手足の筋萎縮(筋肉がやせる)

手に力が入らない・
手が思うように動かない

  • ペットボトルのフタが開けられない
  • 物を持ち上げられない
  • 握力が落ちた
  • 箸を上手に使えない・持てない
  • 腕が上がらない
  • 物を上手につかめない
  • 物をよく落とす
  • ボタンの開け閉めがしにくい など

足に力が入らない・
足が思うように動かない

  • 足がすっと出ない
  • 歩きにくい・転びやすい
  • 階段や坂道の上り下りがきつい
  • ふらつく
  • 立ち上がるのが難しい
  • よくつまずく・つまずきやすい
  • スリッパが脱げやすい
  • 痛む など

箸を
上手に使えない

階段の
上りがきつい

立ち上がるのが
難しい

よくつまずく

ここに示した症状はCIDPやMMNで起こりうる症状の一部を示したものです。
必ずしもすべての患者さんで同じような症状があらわれるわけではありません。

CIDPやMMNの症状を含む末梢神経障害に関連する症状については、「こんな症状はありませんか?」のページもご参照ください。

感覚神経の障害~手足のしびれ・まひ~

末梢神経のうち、感覚神経が障害されることにより、手足のしびれやまひ(感覚のまひ)が起こり、様々な症状としてあらわれます。

手足のしびれ

手足がビリビリ・ピリピリ・
ジーン・ジンジンとしびれる

手足のまひ

手足の感覚が変だと感じる・鈍い

  • 触れられた感じがわかりにくい
  • 痛みを感じにくい など

熱さや冷たさを
感じない

手足が
まひしている

ここに示した症状はCIDPで起こりうる症状の一部を示したものです。
必ずしもすべての患者さんで同じような症状があらわれるわけではありません。

CIDPやMMNの症状を含む末梢神経障害に関連する症状については、「こんな症状はありませんか?」のページもご参照ください。

CIDPとMMNは早期発見・早期治療開始がとても重要です!

CIDPとMMNでは、とても多様な症状があらわれますが、あらわれる症状の種類や起こり方、時期などは、患者さんお一人お一人で異なります。CIDP・MMNと間違いやすい病気もたくさんあります。
CIDPとMMNは治療が可能な病気ですし、患者さんを対象としたアンケート調査からは治療に満足していると回答した患者さんの割合が高かった(十分満足している28%、おおむね満足している51%)と報告されています1)
CIDPとMMNは、早期に正しく診断して、早期に治療を開始することがとても大事です。
CIDPとMMNは脳神経内科でないと診断が難しい病気ですので、まずは脳神経内科を受診してください。

症状があるのに、放置していませんか? こんな症状で病院に行くのはためらわれると思っていませんか? CIDP・MMNの特徴をよく知って、当てはまる症状・状態があったら、脳神経内科を受診してみましょう。 いくつかの病院・診療科で診てもらったのに、診断がつかない病気・症状はありませんか? 整形外科(又は内科、小児科)で治療を受けているのに、なかなか改善しない症状はありませんか? CIDPとMMNは、末梢神経の病気です。そのため、この病気は脳神経内科の領域です。脳神経内科を受診して、正しい診断・適切な治療を受けましょう。

CIDP・MMNの病気の説明、経過・進行の特徴、間違いやすい病気については、「CIDP・MMNを知る」の「CIDP・MMNってなに?」「CIDP・MMNの経過・進行の特徴は?」「CIDP・MMNと間違いやすい病気は?」の各ページをご参照ください。

1) 全国CIDPサポートグループ. 全国CIDPサポートグループによる慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)及びその周辺疾患の患者実態調査報告書. 2018.

監修: 山口大学医学部
神経・筋難病治療学講座 教授
血液脳神経関門先進病態創薬研究講座 研究代表
竹下 幸男 先生 (公開日:2024年5月)