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CIDP・MMNの治療 CIDP・MMNに対してリハビリテーション治療は有効?

CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)・MMN(多巣性運動ニューロパチー)に対するリハビリテーション治療

リハビリテーション治療の重要性

CIDP及びMMNでは、運動神経の障害により運動機能が低下することがあります。そのため、筋力の低下、運動まひなどによって必要以上に安静にしていたり、活動性が低下したりすることによって、体や心の機能が低下した状態になることが心配されます。このような状態を「廃用症候群」といいます。

CIDP及びMMNでは、筋力の改善を目指したリハビリテーション治療(リハビリ)が大切であるとされています。リハビリの結果、筋力が改善することによって、疲労感が改善する、生活の質が向上する、心理的な面でも良い効果が得られるなど、相乗的な効果が期待できます。CIDPとMMNに対するリハビリの目的の一つは、廃用症候群を予防することです。

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廃用症候群とは

病気やケガなどのために長期間にわたって安静状態を続けること・活動性が低下することによって生じる、様々な身体的・精神的症状のことをいいます。

  • 筋肉・骨格への影響:筋力の低下、関節の拘縮(関節が硬く固まってしまう)、関節の可動域(動く範囲)の低下、筋萎縮(筋肉がやせてしまう)、骨密度の低下(骨粗しょう症)など
  • 心臓・動脈・静脈等(循環器系)への影響:持久力の低下(脱力感が生じる、疲労しやすくなるなど)、起立性低血圧(急に立ち上がるとふらつく)など
  • 消化器系への影響:食欲低下、低栄養、体重減少、便秘など
  • 精神神経系への影響:意欲低下、集中力低下、うつ状態など

ここに挙げた以外にも、呼吸器系、泌尿器系などに様々な影響が及びます。廃用症候群とならないように、予防することがとても大切です。

リハビリテーション治療のポイント

ご自身に合ったものを行う

リハビリには「理学療法」「作業療法」「言語療法」があり、理学療法には「運動療法」「物理療法」があります。
また、理学療法士、作業療法士などの専門家の指導のもとで行うものと、患者さんご自身でできるものがあります。
リハビリはお一人お一人に合ったメニューで進めていくことが大切です。専門家と相談しながら、ご自身に合ったものを選択し、実施・継続しましょう。

  • 運動療法:
    理学療法士が行うもの:筋力増強運動、関節可動域運動、基本動作訓練、持久力運動、歩行訓練など
    ご自分でできるもの:ウォーキング、水泳などの有酸素運動、スクワットなどのレジスタンス運動(筋トレ)
  • 物理療法:温熱療法、寒冷療法、電気刺激療法など
  • 作業療法:作業を行うことによって動作能力の改善を目指す

生活リハビリテーションも効果が期待できる

運動療法などは筋力の改善などに重要ですが、患者さんの状態によっては実施が可能な運動の範囲・強度が限られることもあります。日常生活を送るうえで、家事、余暇活動などの取り組みやすい活動を継続して行うことも大切です。それ自体の運動強度は低くても、日常的に行う活動をできるだけご自分の力で取り組むことで、総合的な活動量が増加することがあります。

無理をしない・やり過ぎない

CIDPやMMNの症状の一つに、疲労しやすいこと(易疲労感)があります。障害がある筋肉に負担をかけ過ぎないように、やり過ぎて疲労しないように心がけることが大切です。自己流のリハビリも避けましょう。

MMNは、気温が低い、冷たいシャワーを浴びる、水泳をするなどの寒冷時には運動まひが悪化したり、疲れやすくなったりすることがあります。リハビリを行う際にも気をつけましょう。

監修: 近畿大学医学部 脳神経内科学教室 講師
桑原 基 先生 (公開日:2024年5月)