先天性プロテインC欠乏症はどのように検査・診断するの?
先天性プロテインC欠乏症は、主に以下の手順で検査などを行って診断します。
後天的:先天的(生まれつき)の反対語で、生まれた後に起こること
遺伝性血栓性素因:遺伝的な理由で、静脈や動脈に血栓ができやすい体質であること
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プロテインC活性の測定について
プロテインCの活性を測定し、活性の値が基準値より低下しているかどうかを調べます。
プロテインCは肝臓で作られますので、肝臓の発達が未熟な赤ちゃんではプロテインCの活性が大人に比べて低い値を示します。
そのため、赤ちゃんにおいては、プロテインCが低下・欠乏しているかどうかの判断を慎重に行うことになっています。 -
プロテインCの活性が後天的に低下する要因として、主に以下が考えられます。
- 肝硬変、肝不全といった肝臓の病気のため、肝臓のプロテインCを作る能力が低下している。
- 播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)(DIC)などの病気で血液の凝固が過剰に起こったためや、血栓症が急にあらわれた又は炎症が起こったために、たくさんのプロテインCが消費されてしまっている。
※播種性血管内凝固症候群(DIC):体のいたるところの血管で小さな血栓が生じ、それが血管をつまらせる病気
- DICなどの病気で、血漿成分が血管の外に漏れ出てしまっている。
- ワルファリンを服用している。
ワルファリンは、先天性プロテインC欠乏症の治療に用いられるお薬ですが、ワルファリンの服用で、プロテインC欠乏症でなくてもプロテインCの量・活性が低下します。
✔先天性プロテインC欠乏症の治療については、「教えて! 先天性プロテインC欠乏症はどのように治療するの?」のページをご参照ください。
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遺伝性であることを示唆する所見とは、以下のことです。
- 若くして(40歳以下で)血栓症(特に静脈の血栓症)を発症した
- 血栓症の再発を繰り返す
- まれな部位で血栓症が起こる
- 同じような症状を示す人が家系内に1人以上いる
監修:九州大学大学院医学研究院
成長発達医学分野 教授 大賀 正一 先生
(公開:2024年9月)