出血後、どのように血は止まるの?(止血のしくみ)

止血のしくみを教えて

ケガなどによって出血しても、しばらくすると血は止まります(止血)。
それは、私たちの血液の中にある「血小板」や、血液を固める働きをする「凝固因子(ぎょうこいんし)」、血液の凝固を制御する 「抗凝固因子(こうぎょうこいんし)」又は「凝固制御因子(ぎょうこせいぎょいんし)」といった因子がバランス良く働いているからです。

※血液の凝固:血液が固まること

止血は、「一次止血」と「二次止血」の2段階で行われます。

止血のしくみ:一次止血と二次止血

  • 止血のしくみ:一次止血と二次止血(1)

    血管が破れて出血すると、血管がちぢまって、出血を抑えようとします。
    そして、血液中の血小板が活性化して傷口に集まってきます。

    ※活性化:活発に働くようになること

  • 止血のしくみ:一次止血と二次止血(2)

    集まった血小板がかたまり(血小板血栓)となって、傷口をふさぎます。
    これで取りあえず血が止まりました。
    このときの止血を「一次止血」と呼びます。

  • 止血のしくみ:一次止血と二次止血(3)

    しかし、一次止血はもろくて、不安定です。
    そこで、凝固因子が働き、フィブリンという線維のようなタンパク質が作られて、これが網のように血栓をおおって、硬くて強い血栓(フィブリン血栓)にします。
    これを「二次止血」と呼びます。

  • 止血のしくみ:一次止血と二次止血(4)

    その後、抗凝固因子が働いて、凝固因子の働きを停止させます。
    そして血管が修復され、さらにフィブリンの網は溶解物質によって溶かされ、血栓もなくなります。
    このようにして止血は完了し、血管は元通りになります。

二次止血のしくみと
プロテインCについて教えて

二次止血では、凝固因子や抗凝固因子などのたくさんの因子が働きます。

凝固因子
様々な凝固因子が段階的に次々と活性化して働き、最後にフィブリンが作られます。
抗凝固因子
血液の凝固が過剰にならないように・血栓が必要以上にできないように制御する因子です。
凝固制御因子とも呼ばれています。

プロテインCは抗凝固因子の一つで、活性化プロテインC(APC)となって、二次止血で重要な働きをします。
そのため、プロテインCが低下・欠乏すると、血液の凝固が過剰に起こりやすくなって、血栓症が生じやすくなります。

✔先天性プロテインC欠乏症については、「教えて! 先天性プロテインC欠乏症とはどのような病気?」のページをご参照ください。

二次止血のしくみと活性化プロテインC

二次止血のしくみと活性化プロテインC

活性化プロテインCの働き

活性化プロテインC(APC) 活性化プロテインC(APC)

プロテインCは、トロンビン(第IIa因子)などによって活性化プロテインC(APC)になると、他の因子の協力も得て、第VIIIa因子と第Va因子を壊す(分解する)ことにより、それらの働きを停止させ、血液の凝固を制御します。

APCによる凝固の制御

監修:九州大学大学院医学研究院 
成長発達医学分野 教授 大賀 正一 先生

(公開:2024年9月)