肝細胞がんについて

肝細胞がんの原因

主な原因

肝細胞がんの主な原因は、B型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染(長期間、体内にウイルスが留まる感染)です。

肝細胞がんの発生機序

肝炎ウイルスに感染して長期間、ウイルスが体内に留まると、免疫に関わるT細胞の攻撃によって肝細胞の炎症と修復が繰り返されるうちに、慢性肝炎から肝臓が硬くなってしまう状態(肝硬変)に至り、がんが発生すると考えられています。

肝細胞がんの発生機序
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落合慈之 監修:消化器疾患ビジュアルブック 第2版, 学研メディカル秀潤社, 東京, p300, 2014

主な肝炎ウイルス
主な肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型の5種類がありますが、日本ではA型、B型、C型がほとんどです。

主な肝炎ウイルス

主な肝炎ウイルス
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肝炎ウイルスは感染しても自覚症状がないまま、病気が進行するおそれがあります。そのため、普段から感染予防を心がけ、肝炎ウイルスの検査 を受けておくことが大切です。肝炎ウイルスに感染しても、早期に適切な治療を行えば肝細胞がんを発症するリスクを抑えることができます。

その他の原因

最近では、肝炎ウイルスの感染をともなわない肝疾患から発生する肝細胞がんが増加傾向にあることが報告されています。その主な要因にはアルコール性肝炎や非アルコール性脂肪肝炎(NASH[ナッシュ])などがあります。NASHとは、アルコール多飲や肝炎ウイルス感染によるものではなく、肥満、糖尿病、脂質異常症などのメタボリックシンドロームに関連してできた脂肪肝を背景に発症する肝炎のことです。

その他に肝細胞がんのリスク因子として、多量の飲酒、男性、高齢、喫煙、アフラトキシン(カビから発生する毒素の一種)への曝露などが知られています。