よくある質問
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肝細胞がんの原因になる脂肪肝とはどのようなものですか?
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脂肪肝とは肝臓に中性脂肪がたまった状態であり、ほとんどは過食と多量飲酒が原因で、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などのメタボリックシンドロームをともなっています。脂肪肝の初期にはほとんど症状はありませんが、やがて肝炎を起こし肝硬変に進行することもあります。最近では、あまり飲酒をしない人が脂肪肝から肝炎・肝硬変になる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)が注目されています。
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肝機能が低下すると、どのような症状があらわれますか?
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肝臓にはアルブミンや血液の凝固因子などの物質を生合成する働き(合成能)やビリルビン、アンモニアなど血中の有害な物質を代謝する働き(代謝能)があります。そのため、肝細胞が傷害されて肝機能が低下すると、次のような症状があらわれることがあります。
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腫瘍マーカーを調べれば、肝細胞がんかどうかがわかりますか?
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肝細胞がんの腫瘍マーカーには、AFP(アルファ・フェトプロテイン)、PIVKA-II(ピブカ・ツー)、AFP-L3分画(AFPレクチン分画)の3種類がありますが、これらのマーカーは肝細胞がんでも陰性を示すことがあります。また、がんではなく肝炎や肝硬変がある場合、あるいは肝細胞がん以外のがんがある場合に陽性を示すことがあります。そのため、腫瘍マーカーの結果だけで診断を確定することはできません。
肝細胞がんの診断には、腫瘍マーカーの検査と合わせて画像診断も行われます。
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開腹手術でなく、腹腔鏡手術でも肝切除ができますか?
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がんのある場所や術式によっては、腹腔鏡手術による肝切除が可能です。しかし、肝臓の内部は血管が無数に走っていて太い血管も多いことから、開腹手術であっても肝切除は難易度の高い手術であり、それを腹腔鏡で行うには高度な技術を要します。そのため、肝臓領域で腹腔鏡手術を実施できる施設は限られており、通常、多くは開腹手術が行われています。
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肝移植をしても、それまで通りの日常生活を送ることができますか?
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肝移植を受けた後、重大な合併症やがんの再発による障害などがなければ、それまでと同じように日常生活を送り、社会復帰することができるようになります。ただし、移植後は拒絶反応を抑えるため、免疫抑制剤は生涯にわたり服用する必要があります。また、免疫抑制剤を服用すると、病原体(細菌、真菌、ウイルスなど)への防御機能が低下し感染症にかかりやすくなることから、日頃から手洗い、うがい、マスク着用など感染予防の徹底を心がけることが大切です。
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他の臓器のがんが肝臓に転移した場合、どのような治療をしますか?
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他の臓器で発生したがんが肝臓に転移してできた転移性肝がんの場合、元となるがん(原発巣)がすでに切除されていて肝臓以外に転移がなければ、肝切除を行うことがあります。肝切除ができなければ、原発巣に応じた化学療法などが行われます。
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先進医療とは何ですか?
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先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養のことで、保険給付の対象とすべきか否かを評価する評価療養の1つとされています。先進医療にかかる費用は全額自己負担となりますが、先進医療以外の通常の医療と共通する部分の費用(診療・検査・投薬・注射・入院料等)は、一般の保険診療と同様に扱われます。
肝細胞がんに関しては、重粒子線治療が先進医療の適用となっています。ただし、初発の肝細胞がんであって、肝切除術、肝移植術、エタノールの局所注入、マイクロ波凝固法またはラジオ波焼灼療法による治療が困難であり、かつChild-Pugh分類による点数が7点未満のものに限ります。
質問しましょう
肝細胞がんの診察や治療を受けるにあたっては、知りたいこと、確認したいこと、疑問に思うことなどを医師・薬剤師・看護師に相談・質問してみましょう。質問事項をメモにまとめ、診察時に持参するのもよいでしょう。そして、病気や治療のことをよく理解したうえで、積極的 に治療にのぞんでください。