肝細胞がんの検査・診断

主な検査

血液検査

血液検査では、主に腫瘍マーカーや肝機能について調べます。

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーは、がん細胞がつくり出す特殊な物質です。がんの種類に応じて多くの種類があり、がんがある場合には血液検査で腫瘍マーカーは異常高値を示します。
肝細胞がんの代表的な腫瘍マーカーには、AFP[アルファ・フェトプロテイン]、PIVKA-II[ピブカ・ツー]、AFP-L3分画[AFPレクチン分画]の3種類があります。腫瘍が小さい場合には、2種類以上の腫瘍マーカーを調べることが推奨されています。

腫瘍マーカー
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肝機能検査

主な肝機能検査の項目としては、次のようなものがあります。

肝機能検査
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画像検査

超音波(エコー)検査

腹部の表面に超音波を発する器具(プローブ)をあて、超音波が反射する様子を画像化することで、がんの大きさや個数、がんと血管の位置、がんの広がり、肝臓の形や状態、腹水の有無を調べる検査です。
超音波検査は、患者さんへの負担が少なく簡便に行うことができますが、がんの場所によっては、検査が困難であったり、皮下脂肪が厚いと十分な検査ができなかったりする場合があります。

患者さんの状態やがんのある部位によっては、血管から造影剤を注射する「造影超音波検査」を行うことがあります。

超音波(エコー)検査
CT/MRI検査

CT検査は、体の周囲からX線をあてて撮影した映像をコンピュータが計算して、人体を輪切りにした状態に画像化し、がんの性質や分布、転移や周囲の臓器への広がりを調べる検査です。
MRI検査は磁気を使う検査のためX線の被ばくがなく、体内の状態を様々な方向から鮮明に画像化し、がんの状態を調べることができます。必要に応じてCT検査と組み合わせて行います。

肝細胞がんの診断では、詳しく調べるために、造影剤を注射後、複数回タイミングをずらして撮影した血流の変化を画像化する検査(ダイナミックCT検査/ダイナミックMRI検査)が行われることがあります。

CT/MRI検査
血管造影

足の付け根や肘の動脈から細い管(カテーテル)を差し込んで造影剤を注入し、血管や病巣の状態を調べる検査で、入院が必要になります。
血管造影時に塞栓物質や抗がん剤を注入することで、肝細胞がんの治療(肺動脈カテーテル療法)を同時に行うことも可能です。

病理検査

超音波でがんが疑われる腫瘍の画像を見ながら、その部分に細い針を刺して組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査(肝腫瘍生検)です。

肝細胞がんの肉眼的分類

肝細胞がんは、肉眼的に5つのタイプに分類されます。早期の肝細胞がんではがん病変とがんでない部分の境界がはっきり見えません。
進行すると境界ははっきりしてきますが、がんが染み出るように広がった浸潤型では境界が不規則になります。

肝細胞がんの肉眼的分類
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日本肝癌研究会 編:臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約 第6版[補訂版], 金原出版, 東京, p17, 2019