症状から知るてんかん発作
てんかん発作では、具体的にどのような症状が起こるのでしょうか。ここでは、てんかんでみられる症状と、それぞれの症状があらわれる発作型について説明します。
※症状のイラストはイメージです
手足がつっぱったまま、または曲がったまま全身が硬直する
強直(きょうちょく)発作といいます。背中をそらせた状態で全身が硬直したり、頭部や上半身を下に曲げた状態で硬直したりすることがあります。発作時には歯の食いしばりや、呼吸停止がみられ、発作時に転倒することもあります。
手足を一定のリズムで曲げ伸ばしする
間代(かんたい)発作といいます。転倒し、手足がガクガクと動いているようにみえます。
全身が硬くなった後、一定のリズムで手足を曲げ伸ばしする
強直間代(きょうちょくかんたい)発作といい、強直発作の後に間代発作が起こります。転倒し、口から泡状になった唾液(だえき)を吹いたり、両目が上や横に引っ張られて固まったり、眼球が左右どちらかに寄って白目になったりすることがあります。発作中に意識はなく、発作後は眠ってしまうか、意識がもうろうとしています。
口をモグモグさせる、舌なめずりをする、舌打ちをする/手をモジモジさせる、服のボタンをいじる、手を振り回す/周りをフラフラと歩き回る
自動症(じどうしょう)発作といいます。発作中に意識はありません。
体の力が抜けて倒れる
脱力(だつりょく)発作といいます。突然意識を失い、全身の力が抜けて卒倒(そっとう;脳貧血などにより突然意識を失って倒れること)します。
両手や両足、両肩が一瞬ビクッと動く
ミオクロニー発作といいます。
手足をギュッと力ませ、頭が前にカクンと曲がる動作を繰り返す
てんかん性スパズムという発作です。点頭(てんとう)発作ともいいます。乳児によくみられ、左右対称に手足をギュッと力ませ、うなずくような動作が数秒~数十秒おきに繰り返されます。両目が上や横に引っ張られて固まったり、眼球が左右どちらかに寄って白目になったりすることもあります。
ペダルをこぐような動作、のたうち回るような動作
運動亢進(うんどうこうしん)発作といいます。発作時に手足をばたつかせるため、もがいているようにみえることもあります。
突然ボーッとして動かなくなる
欠神(けっしん)発作といいます。突然動きが止まり、ぼんやりとして、呼びかけにも反応しなくなります。両目が上や横に引っ張られて固まったり、眼球が左右どちらかに寄って白目になったり、まぶたがピクピクと動いたりすることもあります。発作中に意識はなく、発作時の記憶はありません。発作の始まりと終わりが明らかな場合を定型欠神発作、始まりと終わりがわかりにくい場合を非定型欠神発作といいます。
胃の不快感、吐き気、嘔吐、鳥肌、発汗
自律神経(じりつしんけい)発作といいます。最も多いのは胃の不快感で、胃のあたりから気持ちの悪い感覚が込み上がってきます。このほかに、頭痛、脈が速くなる/遅くなる、呼吸が増える/減る、血圧が上がる/下がる、顔が蒼白になる/赤くなるなどがあります。
うまく言葉が出ない、既視感・未視感、錯覚、幻覚
認知(にんち)発作といいます。以前は「精神発作」と呼ばれていました。声は出るのに言葉がうまく出てこなかったり、他人の話を理解できなくなったりします。ほかにも、初めて見る光景や物事を、以前見たことがあるように感じる既視感や、逆に見慣れているはずの光景や物事を初めて見たように感じる未視感、実際に見えているものや触れているものとは異なる感覚を抱く錯覚、実際にはないものが見える幻覚などもあります。
突発的に喜び、怒り、恐怖、悲しみ、喜びなどを強く感じる
情動(じょうどう)発作といいます。突発的に上記のような感情が強くわき上がります。それらの感情がなくても笑い発作や泣き発作が起こることもあります。
体の一部にしびれや痛みを感じる、視野の一部に色や光が見える、音が聴こえる、においを感じる
感覚(かんかく)発作といいます。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、痛覚に異常が起こり、上記のような症状があらわれます。このほかにも、体の一部が小さくなった/大きくなったと感じる、視野の一部あるいは全部が見えなくなることもあります。
突然動きを止める、無反応になる
動作停止(どうさていし)発作といいます。動きを止める発作には全般発作である欠神発作もありますが、動作停止発作は焦点発作のひとつです。
実際の発作の際には、これまでに説明した発作が連続して起こることもあります。たとえば、ミオクロニー欠神発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作では、ミオクロニーに続いてそれぞれの発作が起こります。