小児ホジキンリンパ腫
小児ホジキンリンパ腫の特徴
小児ホジキンリンパ腫は、複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法と低線量放射線療法の併用で高い治癒率が得られます。ただし、小児では筋肉や骨格の成長を損なう場合があるほか、ずっと後になってから心血管障害、二次がん、生殖機能障害などの晩期合併症が現れるおそれがあります。そのため、生存率を高くしつつ晩期合併症を極力減らす治療が行われます。
小児ホジキンリンパ腫の治療
○早期(Ⅰ~ⅡA期)で巨大腫瘤がない:
複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法2~4コースと低線量リンパ節領域照射を併用します。
○早期(Ⅰ~ⅡA期)で巨大腫瘤がある、進行例ⅡB期~Ⅳ期で巨大腫瘤がある:
複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法4~8コースと低線量リンパ節領域照射を併用します。
化学療法の反応がよくないときは追加放射線照射を行い、薬物療法の反応がよい場合は放射線照射をしないこともあります。
○進行期のⅣ期で巨大腫瘤がない:
複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法4~8コースと低線量リンパ節領域照射を併用します。また、CD30というタンパク質(抗原)が細胞の表⾯にある悪性リンパ腫では抗体医薬と他の抗がん剤を組み合わせた治療を⾏う選択肢もあります。
○再発したとき:
初回治療後に再発したときは、救援療法として初期治療では使っていない抗がん剤を含む複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法を行います。また、CD30というタンパク質(抗原)が細胞の表面にある悪性リンパ腫では抗体医薬を単独で投与する選択肢もあります。
○初回治療が効かないとき:
初回治療が効かなかった場合は、より強力な治療法として、自家造血幹細胞移植を試みることもあります。
・張高明(監):悪性リンパ腫ハンドブック 2010年版. ライフボート. 2010: 212.
・一般社団法人日本小児血液・がん学会(編):小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン 2016年版. 金原出版. 2016: 96-98.
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