放射線療法と副作用
小児の放射線療法とは
●小児ホジキンリンパ腫は複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法と低線量放射線療法を行いますが、小児では筋肉や骨格の成長を損なう場合があるほか、ずっと後になってから心血管障害、二次がん、生殖機能障害などの晩期合併症が現れるおそれがあります。
そのため、放射性照射の影響を極力減らす努力が行われており、照射野の縮小、線量の低減(40Gy以上から15.5〜25Gy)、さらに、薬物療法の反応がよい場合は放射線照射をしないこともあります。
●悪性リンパ腫が1カ所、あるいは近くに限局している場合には、病変部に放射線(高エネルギーのX線)を当てて、がん細胞を死滅させ、悪性リンパ腫の中心までたたくことを目指します。例えば、2グレイを20回、約4週間かけて放射線を当てます。治療が長期にわたるのは、放射線ががん細胞を死滅させるだけでなく、正常な細胞にもダメージを与えるためで、1回ごとに照射する放射線量を抑える必要があるからです。
放射線療法による副作用
●放射線療法の副作用は個人差があり、照射する部位によっても異なります。疲労感や吐き気、食欲低下などの症状が出ることもあります。また、照射した部位の皮膚が日焼けのように赤くなることもあります。
●ごくまれに、放射線療法を受けてから半年以上たった後、ときには何年もたってから、「晩期合併症」と呼ばれる副作用が起こることがあります。照射によりその近くに別のがんが発生したり、不妊になる危険性があります。
・飛内賢正(監):血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫. 講談社. 2017: 34-35.
・飛内賢正, 木下朝博, 塚崎邦弘(編):悪性リンパ腫治療マニュアル(改訂第5版). 南江堂. 2020: 354-357.
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