皮膚リンパ腫のお話

皮膚リンパ腫の治療方法

HOME > 皮膚リンパ腫の治療方法

皮膚リンパ腫は、皮膚リンパ腫のタイプ(病型)によって治療が異なります。
皮膚リンパ腫の治療としては、「局所療法」と「全身療法」があります。皮膚リンパ腫の病型や病期(病気の広がり)により、「局所療法」と「全身療法」を組み合わせて治療します。

皮膚リンパ腫の治療

皮膚リンパ腫の局所療法

皮膚リンパ腫の病変が皮膚のみの場合は、外用ステロイド紫外線療法放射線療法、手術の局所療法を行います。

紫外線療法

紫外線療法には、免疫反応やがん細胞の増殖を抑える効果があります。長波長の紫外線(UVA)や中波長の紫外線(UVB)を皮膚に照射することによって、皮膚の症状を抑えます。

紫外線療法

放射線療法

放射線療法は、皮膚リンパ腫の腫瘤に高エネルギーの放射線を照射し、がん細胞を消失させたり、腫瘤を小さくします。潰瘍性病変を抑える効果もあります。

紫外線療法

皮膚リンパ腫の全身療法

がん化したリンパ球が血液や別の臓器にも認められる場合は、全身療法と局所療法を組み合わせて治療します。

紫外線療法
参考文献:

・がん情報サービス:皮膚のリンパ腫(https://ganjoho.jp/public/cancer/skin_lymphoma/index.html:アクセス日:2023/10/02)

・清原英司: MB Derma. 2020; 291: 39-43.

・宮垣朝光: MB Derma. 2020; 291: 45-53.

・アドセトリス単剤による治療を受ける患者さんへ

保湿薬(ほしつやく)

皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚の水分を補う役割を持っています。

外用ステロイド(がいようすてろいど)

抗炎症作用(炎症を促す物質の産生を抑制)、細胞増殖抑制作用、血管収縮作用(患部の赤みをしずめる)、免疫抑制作用(抗体の産生を抑制)がある塗り薬です。

紫外線療法(しがいせんりょうほう)

皮膚疾患の治療法のひとつで、長波長の紫外線(UVA)や中波長紫外線(UVB)を皮膚に照射することによって、免疫反応や細胞増殖を抑える効果があります。

PUVA療法(プバりょうほう)

PUVA(プバ)療法は、ソラレンという紫外線に敏感になる薬剤に長波長紫外線(UVA:ユーヴィエー)照射を組み合わせたものです。ソラレンには、外用・内服・入浴(バス)という種類があります。

UVB療法(ユーヴィビーりょうほう)

UVB(ユーヴィビー)療法は、照射にあたっては薬剤を使わず、中波長紫外線(UVB)を皮膚に照射します。

放射線療法(ほうしゃせんりょうほう)

放射線療法は、ホジキンリンパ腫の腫瘤に高エネルギーの放射線を照射し、がん細胞を消失させたり、腫瘤を小さくします。周囲にある正常な細胞も傷つきますが、正常な細胞は傷を修復して回復することができます。正常な細胞に大きなダメージを与えないように放射線は何回かに分けて照射し、徐々にがん細胞の数を減らしていきます。放射線治療の流れは、診察、放射線治療計画、経過観察で行います。放射線治療の回数やスケジュールは人によって様々です。

免疫療法(めんえきりょうほう)

免疫療法とは、がんを攻撃してくれる体内の免疫細胞を使って治療する治療法です。

ビタミンA誘導体(ビタミンエーゆうどうたい)

皮膚の角化(角質層が厚く硬くなること)を抑える働きがあります。
ステロイド外用や紫外線療法で効かない紅斑(淡紅色や褐色に変わった皮膚)や局面(皮疹が軽度に隆起している)に関して内服治療として使用されます。

HDAC阻害剤(エイチダックそがいざい)

HDAC(エイチダック)阻害剤は、エピジェネティクス(epigenetics)に作用する薬剤です。
生物の設計図であるゲノムの遺伝子は、DNA上の塩基の並び順で規定されています。エピジェネティクスは、塩基配列に変化はなくても遺伝子が細胞の種類や環境に応じて後天的に変化する仕組みのことをいいます。
HDAC阻害剤とは、ヒストン脱アセチル化酵素を阻害する薬剤のこと。ヒストン脱アセチル化酵素を阻害する作用により、ヒストンと呼ばれるたんぱく質に巻きついているDNAをゆるめることで、がんを抑える遺伝子を活発にして、がんの増殖を抑制する働きをします。

化学療法(かがくりょうほう)

化学療法とは、抗がん剤を用いてがんを治療することをいいます。 抗がん剤を注射や点滴、内服などで全身に行き渡らせることで、がん細胞の増殖を抑えたり、再発や転移を防いだりする全身的な治療法です。薬物療法ともいいます。

抗体療法(こうたいりょうほう)

抗体医薬品を使って治療することを抗体療法といいます。抗体は体内に侵入した抗原と結びつき、その働きを抑えるタンパク質です。抗体療法とは、がん細胞の表面にある特殊なタンパク質(抗原)を目印にして結びつく抗体を利用して、がん細胞の増殖を防ぎます。単一(モノ)の抗体産生細胞に由来するクローンから作った薬を「モノクローナル」といいます。

造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)

大量の薬物療法や放射線療法により残存しているリンパ腫を消失させるとともに、骨髄内の造血幹細胞が減少したあと、患者さんご自身、または、提供者(ドナー)の正常な造血幹細胞を移植し、正常な血液細胞をつくれるようにする治療法です。
患者さんご自身の造血幹細胞を移植することを自家造血幹細胞移植(じかぞうけつかんさいぼういしょく)といい、ドナーの造血幹細胞を移植することを同種造血幹細胞移植(どうしゅぞうけつかんさいぼういしょく)といいます。

潰瘍(かいよう)

病気のため、粘膜や皮膚の表面が炎症を起こしてくずれ、できた傷が深くえぐれたようになった状態です。

リンパ球(りんぱきゅう)

リンパ球とは白血球の一種で、異物の侵入から体を守る免疫に関わる細胞です。リンパ球はB細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、ナチュラルキラー(NK)細胞に分類することができます。

▲ ページの
先頭へ