皮膚リンパ腫とは
皮膚リンパ腫は、リンパ節以外の部位に発生する非ホジキンリンパ腫です1)。 皮膚組織の中のリンパ球ががん化したもので、皮膚がんとは区別されています2)。
皮膚リンパ腫は、希少な疾患で、日本での正確な罹患率は不明ですが、年間10万人あたり、0.4人以上と考えられています3)。
男女比は1.3と男性に罹患頻度が高く、診断時の年齢は65歳と高齢者が多い疾患です4,5)。
藤井一恭:皮膚悪性腫瘍(第2版).日本臨牀. 2021; 79: 450-454.
皮膚リンパ腫のタイプ(病型)
皮膚リンパ腫は、がん化しているリンパ球の種類によって分類されており、主に皮膚T・NK細胞リンパ腫と皮膚B細胞リンパ腫に病型分類されています。
日本の2007年から2011年統計では皮膚T及びNK細胞リンパ腫はすべての皮膚リンパ腫の85.7%を占めています4)。
罹患率が高い皮膚リンパ腫の病型は、菌状息肉症・セザリー症候群45.2%、成人T細胞白血病・リンパ腫16.7%、原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫7.8%、原発性皮膚びまん性大細胞型B細胞リンパ腫,下肢型5.5%でした。
Hamada T, Iwatsuki K, : J Dermatol. 2014; 41(1): 3-10.作図
代表的な皮膚リンパ腫のタイプ(病型)3)
皮膚 T 細胞リンパ腫
菌状息肉症 - セザリー
症候群 成人T細胞白血病 /リンパ腫原発性 皮膚 未分化 大細胞型 リンパ腫- リンパ
腫様丘疹症状
など
皮膚 B 細胞リンパ腫
粘膜 関連 リンパ組織 節外性 辺縁帯 リンパ腫原発性 皮膚 濾胞 中心 リンパ腫原発性 皮膚 びまん性大細胞型B細胞 リンパ腫、下肢型
など
皮膚リンパ腫の症状
皮膚リンパ腫の症状は、初期には、皮膚が淡紅色や褐色にかわった部分(
皮膚T細胞リンパ腫で代表的な菌状息肉症の進行経過
紅斑に始まり、皮疹が軽度に隆起し(局面)、しこり(腫瘤)へと段階的にゆっくりと進行します。 すべての患者さんが、症状が進行するわけではありません5)。
藤井一恭:皮膚悪性腫瘍(第2版).日本臨牀. 2021; 79: 450-454.作図
1)菅谷 誠(編)大塚幹夫(著): MB Derma. 2020; 291: 1-11.
2)がん情報サービス:皮膚のリンパ腫(https://ganjoho.jp/public/cancer/skin_lymphoma/index.html:アクセス日:2023/10/02)
3)公益社団法人日本皮膚科学会、一般社団法人日本皮膚悪性腫瘍学会(編):
第2章皮膚リンパ腫総論. 科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第3版. 2022; 275-288.
4)Hamada T, Iwatsuki K, : J Dermatol. 2014; 41(1):3-10.
5)藤井一恭:皮膚悪性腫瘍(第2版).日本臨牀. 2021; 79: 450-454.