ホジキンリンパ腫の治療
古典的ホジキンリンパ腫の治療
ホジキンリンパ腫の大部分を占めるのが、古典的ホジキンリンパ腫というタイプです。古典的ホジキンリンパ腫の治療は、未治療の患者さん(初回治療)で限局期(Ⅰ期とⅡ期)、進行期(Ⅲ期とⅣ期)で異なり、再発/治療効果が得られなかった患者さんの場合はさらに別の治療を試みます。
古典的ホジキンリンパ腫の初回治療
- Ⅰ期、又はⅡ期で2つの病変の場所が近い場合は複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法と放射線療法を併用するのが標準的な治療です。
- Ⅲ、Ⅳ期の進行期の場合は、投与回数を増やした薬物療法を行います。
治療終了後のPET-CT検査で病変が消失している場合(完全寛解)には経過観察します。PET-CT検査で病変が残っていると判断された場合に、その部分に対して放射線療法を行う場合もあります。 - その他、細胞表面マーカー検査で、細胞表面のタンパク質(表面抗原)を調べCD30抗原が陽性であれば、微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体薬と他の抗がん剤を組み合わせた治療法も選択肢になります。
- 限局期(I期、Ⅱ期)で予後が不良の患者さんや進行期(Ⅲ期、Ⅳ期)の患者さんは、治療の途中でPET-CT検査を行い、治療を変更することがあります。
古典的ホジキンリンパ腫で再発/治療効果が得られなかった場合の治療法
- 古典的ホジキンリンパ腫で、再発/治療効果を得られなかった患者さんの治療は、前回と違う抗がん剤の組み合わせで、救援化学療法を行います。
- 65歳以下で、臓器障害がない、救援化学療法の効果が得られた場合に、造血幹細胞移植(自家移植併用大量化学療法)を行うこともあります。
- その他に、細胞表面マーカー検査で抗体を調べCD30抗原が陽性であれば微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体薬の選択や免疫チェックポイント阻害薬も治療選択肢となります。
結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の治療
限局期(I期、Ⅱ期)の場合は、放射線療法を単独で行います。また、「38℃より高い原因不明の発熱」、「掛け布団、シーツなどを換えなければならないほどのずぶ濡れになる寝汗」、「診断前の6カ月以内の通常体重の10%を超す理由不明の体重減少」などの全身症状が一つでも伴う場合(B症状)は、放射線療法後、薬物療法をすることもあります。
進行期(Ⅲ期、Ⅳ期)、再発/治療効果が得られなかった患者さんの治療は薬物療法を行います。薬物療法に放射線療法を併用することもあります。B症状が無い場合は治療せず、経過観察したり、痛みなどを除く目的で放射線療法のみ行うこともあります。
・堀田知光(編), 伊豆津宏二(著):インフォームドコンセントのための図説シリーズ 悪性リンパ腫 改訂3版. 5.治療方針. 医薬ジャーナル社. 2017: 24-35.
・一般社団法人 日本血液学会(編):造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 金原出版. 2023: 352.
・大久保幾久美(編・著):悪性リンパ腫ハンドブック 2010版. ライフボート. 2010: 106-113.
- 治療後の生活について
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