非ホジキンリンパ腫の治療
非ホジキンリンパ腫の治療
非ホジキンリンパ腫の治療法は、悪性度と病期によって変わります。
病期は悪性リンパ腫の腫れやかたまりの広がり方で、I~Ⅳ期の4段階に分けられます。悪性度とは、病気の進行の速さに応じて3段階に分ける方法です。低悪性度は年単位で進行する悪性リンパ腫、中悪性度は月単位で進行する悪性リンパ腫、高悪性度は週単位で進行する悪性リンパ腫と分類されます。また、リンパ球のうちB細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、NK(ナチュラルキラー)細胞のどの細胞ががん化しているかによっても、治療法が変わることがあります。
ゆっくり進行する(低悪性度の)悪性リンパ腫の治療法
B細胞リンパ腫(ろ胞性リンパ腫、MALTリンパ腫など)の場合
- Ⅰ期、又はⅡ期で二つの病変の場所が近い場合は放射線療法が標準的な治療です。
- Ⅱ期で病変の場所が離れているときやⅢ、Ⅳ期は経過観察、薬物療法、圧迫症状がある部位への放射線療法と治療選択があります。
- 胃のMALTリンパ腫で限局期の場合、ピロリ菌が陽性であればピロリ菌除菌療法、ピロリ菌が陰性であれば放射線療法が第一選択となります。
*薬物療法の薬剤は、細胞表面マーカー検査で抗体を調べ、CD20抗原が陽性であれば抗CD20モノクローナル抗体薬を投与します
活動性の高い(中悪性度の)悪性リンパ腫の主な治療法
びまん性大細胞B細胞リンパ腫の場合
- I、Ⅱ期は薬物療法と放射線治療を組み合わせるのが標準的な治療です。
- Ⅲ、Ⅳ期は投与回数を増やした薬物療法を行います。場合によっては放射線療法を併用します。
*薬物療法の薬剤は、細胞表面マーカー検査で抗体を調べ、CD20抗原が陽性であれば抗CD20モノクローナル抗体薬を投与します
末梢性T細胞リンパ腫の場合
- 末梢性T細胞リンパ腫の治療は、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫と、それ以外の病型、末梢性T細胞リンパ腫•非特定型、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫は分けて治療を行います。
- ALK陽性未分化大細胞リンパ腫は、複数の抗がん剤を組み合わせ薬物療法を行います。場合によっては放射線療法を併用します。その他に細胞表面マーカー検査で抗体を調べ、CD30抗原が陽性であれば、微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体薬と他の抗がん剤を組み合わせた治療法も選択肢になります。
- 末梢性T細胞リンパ腫•非特定型、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫は、複数の抗がん剤を組み合わせ薬物療法を行いますが、標準治療が確立していないため、臨床試験も選択肢の1つとなります。その他に細胞表面マーカー検査で抗体を調べ、CD30抗原が陽性であれば、微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体薬と他の抗がん剤を組み合わせた治療法も選択肢になります。
最も進行が速い(高悪性度の)悪性リンパ腫の治療法
バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫の場合
- バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫は早い時期で強力な薬物療法を開始することが重要です。
- 成人T細胞白血病リンパ腫は70歳未満の患者さんでは複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法後、同種造血幹細胞移植を検討します。
非ホジキンリンパ腫で再発/治療効果が得られなかった場合の治療法
- 悪性リンパ腫の再発では、前回と異なるタイプのリンパ腫となってあらわれることがあるため、再発部位の病理検査(生検)により、腫瘍のタイプを調べ、治療の方法を検討します。
- 非ホジキンリンパ腫では、ろ胞性リンパ腫、MALTリンパ腫が再発すると、びまん性大細胞リンパ腫になることが多く、その場合は主にびまん性大細胞リンパ腫の治療法に準じた治療が行われます。
- 中悪性度のびまん性大細胞リンパ腫や高悪性度のバーキットリンパ腫で再発/治療効果が得られなかった場合の治療法としては、前回と違う薬剤の組み合わせで、救援化学療法を行います。救援化学療法の効果が出たときに、造血幹細胞移植を行う場合もあります。
- 末梢性T細胞リンパ腫で再発/治療効果が得られなかった場合では、細胞表面マーカー検査で抗体を調べ、CD30抗原が陽性であれば、微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体薬、CCR4抗原が陽性の場合はヒト化抗CCR4モノクローナル抗体薬が選択肢になります。
・一般社団法人 日本血液学会(編):造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 金原出版. 2023: 224-348.
- 治療後の生活について
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