リンパ腫の治療方針
悪性リンパ腫の治療方針を決めるには?
悪性リンパ腫の治療方針を決めるうえで重要なのは、
「①病気のタイプ(病型)」と
「②悪性リンパ腫の進行度(病期)」、
さらに患者さんの状態、
「③悪性リンパ腫の予後因子」です。
これらを総合的に判断して治療方針が決められます。
①悪性リンパ腫のタイプ(病型)
腫れているリンパ節や腫瘤(しゅりゅう)の一部を切除して、組織を採取します。採取された組織は、顕微鏡で細胞の形態や性質から、悪性リンパ腫の診断をします。さらに、染色体異常があるかどうか、細胞表面のタンパク質(表面抗原)などを見て、最終的にどのタイプのリンパ腫かを判定します。
②悪性リンパ腫の広がり(病期)
悪性リンパ腫の病変の広がり(病期)は、治療法の選択、予後予測に大きく影響するため、病期を正確に把握することが非常に重要です。
病期の分類法としては、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫、どちらに対しても「アン・アーバー分類」を使い、Ⅰ~Ⅳ期に分類します。
さらに、各病期ごとに「38℃より高い原因不明の発熱」、「掛け布団、シーツなどを換えなければならないほどのずぶ濡れになる寝汗」、「診断前の6カ月以内の通常体重の10%を超す理由不明の体重減少」などの全身症状が一つでも伴う場合、「B症状」と分類され、B症状がなければ「A」と分類されます。
臨床分類による治療方針の違い
病気の進行度合いによる分類としては、次のような臨床分類法があり、これによっても、治療法が変わってきます。
ホジキンリンパ腫はⅠ期、Ⅱ期は「限局期」、Ⅲ期、Ⅳ期を「進行期」と分けています。非ホジキンリンパ腫は「低悪性度リンパ腫」(年単位で緩やかに進行する)、「中悪性度リンパ腫」(週~月単位で進行する)、「高悪性度リンパ腫」(日~週単位で急速に進行する)の3つに分けられます。
③悪性リンパ腫の予後因子
病気の治りやすさや経過の見通しのことを、予後(または生命予後)といいます。ここには、生存できる確率という意味も含まれます。それぞれの病気について、どんなことがその病気の予後にかかわっているのかが各国で研究されており、悪性リンパ腫についても、「予後予測」モデルが作られています。
予後因子としては、年齢、血清LDH 、ヘモグロビン値、PS(パフォーマンスステータス)、病期、節外病変数などがあり、予後不良因子が少ないほど治療効果や予後はよいとされています。進行期ホジキンリンパ腫に対する予後を予測する因子としては、「国際予後スコア(IPS)」があります。中~高悪性度非ホジキンリンパ腫の予後予測モデルとしては「国際予後指標:IPI」が使われています。
・一般社団法人 日本血液学会(編):造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版. 金原出版. 2023: 208-221.
・堀田知光(編), 大間知謙(著):インフォームドコンセントのための図説シリーズ 悪性リンパ腫 改訂3版. 4.リスク分け. 医薬ジャーナル社. 2017: 20-23.
- 治療後の生活について
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