武田薬品工業株式会社

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MGUSと歩んできた私の道のり

「多発性骨髄腫と歩んできた私たちの道のりと今」他の患者さんを見る

2016年5月、82歳のときに血液検査でIgA高値が判明し、専門医がいる病院を紹介され、MGUSと診断。同年6月にセカンドオピニオンを求めた病院で定期的に検査受診しながら、治療は行わずに現在に至る。最近は、毎日5,000歩程の歩行と20分程のストレッチを心がけている。また、会社役員としての仕事などもあり、活動的に過ごしている。
※ MGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症。エムガスと呼ぶ。Mタンパクが存在しても、多発性骨髄腫でみられる臨床症状や他の検査値異常が認められない病態。治療は行わないが、一定の確率で多発性骨髄腫に移行する場合があるため、その徴候を早期に発見する目的で定期的な経過観察が行われる。

HMさんのこれまでの治療のあゆみ

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微熱、血沈の異常値が気になり複数病院を受診

2016年の1月に微熱のため、かかりつけの医院で血液検査をしたところ、血沈(ESR)が非常に高い値でした。CRPは低かったので先生からは「炎症反応はないので心配することはないですよ」と言われたのですが、自分の気持ちの中でなかなか納得しづらいところがあり、別の病院に行ったときにも、念のため相談したところ、やはり同じような説明を受けました(図中)。自覚症状があるわけでもなかったので年のせいかなと思いながら、何もないのに血沈が上がることもあるのだろうかと気になっていました。

IgA値が判明し、総合病院を紹介受診

年に数回、歩けないほど足が痛くなったり、膝や手が腫れて赤くなったり、熱が出たりすることがあり、リウマチっぽいのかなと自分では思っていて、かかりつけ医の先生にも以前からそのような症状があることはお伝えしていました。自然とすぐに治まっていたので、特に何かの病気と診断されたり、治療を受けたりしたことはありませんでした。2016年5月に受診したときに、同様の症状があったことをお伝えし、検査をすることになったのですが、IgAが非常に高値(2,835mg/dl)という結果が出て、「血液の病気かもしれないので専門の先生のところで精密検査を受けて欲しい」と言われ、すぐに総合病院の血液内科を紹介されました(図中)。

診断されたのに治療しない?

総合病院の血液内科を受診し、血液検査をしてMGUSと診断され、血液のがんである多発性骨髄腫に進行する可能性があると言われました。「治療の必要はないので、今まで通りの生活を続けてください」と言われました。普通、病気になると、特にがんは早期発見・早期治療といわれるものなのに、治療の話は全く出なかったので、いったいどういう病気なのだろう、なぜ早く治療に入れないのだろうと不思議に思いました(図中)。診察を待っている他の患者さんも多い病院なので、質問しやすい雰囲気ではありませんでしたが、1つだけ、とにかく好きなゴルフを続けてもいいかを尋ね、「どうぞ続けて構わないですよ」と言われました。もしかしたら、もう少し病気のことや治療のことを質問してもよかったのかもしれませんが、そのときは、病名がわかったということだけで、なんとなく漠然とした気持ちのまま、帰宅しました。ただ、がんに進行する可能性があると言われたことと、IgAがあれほど高いのだから、もう1回調べてもらう必要があると思いました。

セカンドオピニオンを求め、別の病院を受診

家に帰ってから、あらためてインターネットで病気のことを調べました。治療法が確立されておらず、完治できない疾患であるという点が、印象に残りました。調べているといろいろな病院の名前が出てきて、その中に比較的近くの大きな病院の名前がありました。血液のがんに進行する可能性があると言われ、自分の中ではモヤモヤした気持ちがあり、これほどの病気なら1か所の診断で結論を出すより、もっとはっきりと知りたい、自分自身で納得したいという気持ちが強くなり、それほど日にちを置かず、インターネットで調べたその病院を受診することにしました。
たぶん検査の予約だけして別の日に精密検査を受けることになるだろうと思って受診しました。思いがけず、その日のうちに骨髄検査まで受けることができ、あとは専門の先生がいる日に診断を聞きにくるように言われました(図中)。診断結果を聞きに行ったところ、「今の段階(IgAだけが高値の状態)では治療する必要はなく、がんに進行しない限り治療は始められない。今は治療に入る段階ではないので2か月に1回程度、血液検査や必要に応じて他の検査を行い、がんへの進行の徴候があらわれて治療が必要な段階になったら治療しましょう」と言われました。私としては、どういう病気で、どうなっていくのかを把握したかったので、それに対してはっきり説明していただいて納得することができました(図中)。

聞いたこと・指導されたこと

ゴルフをやってもいいかという質問をしたところ、先生は骨のことを非常に心配されて、「なるべく気をつけてください」と言われました。自分ではちょっとした運動をしても骨が痛くなるようなことは全くないので、その点は不思議に思いました。
2か月に1回の検査で先生が判断されていると思いますが、腎臓が悪くなってきているので、水分を摂るようにということと、減塩を徹底して守るように言われています。そのおかげなのか、血圧がもう何十年も高めだったのに、この2年くらいは下がってきています。
それから毎回のように検査の値を見ながら、お話しいただき、「これはどのくらい上がると治療するんですか」と質問したところ、先生からは「ある検査値だけが高いから治療に入るということではなく、治療しないといけない状況かどうか、総合的に判断していきます」と言われました。

がん患者団体への入会と情報収集 

実際に治療を受けているわけではなく、従前と同じ⽣活を続けている中で、もう少し⾻髄腫に関して知識を入れておいたほうがよいだろうと思い、3年半くらい前にインターネットでいろいろ調べました。そのときに、がん患者団体があることを知り、電話して⼊会しました。勉強会や講演会を各地で開催されているということは知りませんでしたが、通院している病院の中でも、そうした会が開催されるというので1回参加しました。自分と同じような状況の、治療を受ける前で定期通院しているような方のお話を聞いてみたいという気持ちがあるのですが、そのときは会うことはできず、実現できていないです。

将来的に悪化したら、治療開始も覚悟している

決して強がりではありませんが、将来的に検査数値が悪化して症状が出てきたら、治療を受けなければならない、その点は仕方がないことと割り切って、治療を受けることも覚悟しています(図中)。しかも今年に入って急に、IgAや腎臓の値が悪くなってきているので、おそらく近い将来、治療を受けることになるだろうと自分なりに感じています。
私は、どこの先生であろうとも、問診を丁寧にしてくださる先生がいい先生だと思っていて、自分も思ったことは正直に話して、先生に聞いていただく、それが一番だと思っています。最近はいろんな薬がどんどん出てきて選択肢が増えてきていると聞いていますが、だからといってどういうふうに効くのかはよくわかりませんので、そこは先生の指導を仰ぐことになると思います。

周囲の人とのかかわり

昔気質と言えばそれまでですが、弱々しい自分を見せたくないという気持ちがあって、こうありたいということに対して挑戦する気持ちが非常に強いほうだと思います。相手は私のことを元気だと思っているので、強いて病気のことを言う必要もないと考えています。

今後について

生きている間、世の中に何かしら役に立てることがあれば、協力していきたいと思います。
先程も言ったように薬の選択肢が増えてきていることは聞いていますが、さらに良い薬が開発されて、より多くの人が助かるようになれば良いと思います。