後天性TTPの
診断・検査
後天性TTPの診断のために、
どんな検査が必要なの?
後天性TTPの診断・検査について
ご紹介します。
監修:奈良県立医科大学
輸血部・血液内科 教授 松本雅則 先生
後天性TTPの診断・検査
以前は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の特徴的な5つの症状(→後天性TTPの症状)によって診断されていました。現在では、ADAMTS13※あだむてぃーえすじゅうさんのはたらきがわかってきたため、原因不明の溶血性貧血と血小板の減少の2つの症状と、ADAMTS13について調べる検査に基づいて診断されるようになってきています1,2)。
血小板の減少があり、ADAMTS13のはたらきが大きく低下している患者さんで、ADAMTS13のはたらきを低下させる物質(インヒビターといいます)がみられる場合に、後天性TTPの可能性があると考えます3)。
酒井和哉, 松本雅則. 日本内科学会雑誌 2020; 109(7): 1355-1362より改変
さらに、インヒビターができる原因となる病気などを認めない場合は後天性原発性TTPと診断され、原因となる病気や一部の薬剤に関連してインヒビターができている場合には後天性二次性TTPと診断されま
す3)。
ADAMTS13がどのくらいはたらいているかを測定する検査とADAMTS13のインヒビターの有無を調べる検査は、2018年4月より保険適用とされています3)。(2023年6月現在)
- ※ADAMTS13:血小板をくっつける“のり”のような分子で血栓をつくるためにはたらくフォン・ヴィレブランド因子を切断して、必要のない血栓ができないようにする酵素(→フォン・ヴィレブランド因子とADAMTS13のはたらき)
参考文献
- 1) 宮川義隆. 日本血栓止血学会誌 2020; 31(1): 28-36
- 2) 酒井和哉, 松本雅則. 日本内科学会雑誌 2020; 109(7): 1355-1362
- 3) 厚生労働科学研究費補助金 (難治性疾患政策研究事業)「血液凝固異常症等 に関する研究」 班 TTP グループ 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド 2020
https://www.naramed-u.ac.jp/~trans/news/pdf/ttp.pdf 2023年6月30日閲覧