後天性TTPの治療
後天性TTPの治療は、
どのようなものがあるの?
後天性TTPの治療について、
病気の時期ごとにご紹介します。
監修:奈良県立医科大学
輸血部・血液内科 教授 松本雅則 先生
後天性TTPの治療
後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療では、血漿交換療法など自己抗体を除去する治療を行います1,2)。治療開始が遅れると、その後の経過に影響があるため、早急に治療開始する必要があります2)。
急性期(TTPの発作が
みられる時期)の主な治療
血漿交換療法
患者さんの血液を取り出して血漿分離器で血球成分と血漿成分に分離した後に、血漿を廃棄して、代わりに新鮮な血漿(新鮮凍結血漿、fresh frozen plasma: FFP)で補充する治療法です3)。
はたらきの低下したADAMTS13あだむてぃーえすじゅうさんを補い、インヒビターやADAMTS13で切断されなかった大きなフォン・ヴィレブランド因子を取り除くことなどを期待して血漿交換療法を行います2)。
治療は、新鮮凍結血漿FFPを用いて1日1回毎日実施し、治療開始から1ヵ月を限度として、血小板数が正常化(15万μL以上)して2日後まで実施します2)。インヒビターがつくられにくくするお薬、血栓がつくられるのを抑えるお薬を血漿交換の前後に投与する場合があります。
また、インヒビターがつくられた原因がわかっている場合(後天性二次性TTP)で、お薬が原因の場合は、そのお薬を中止します2)。原因となる病気がある場合は、その病気の治療を続けます2)。この場合もADAMTS13のはたらきは低下しているため、血漿交換療法を行います2)。
難治性の場合や、早期に再発が
みられた場合の治療2)
血漿交換療法を5回以上行っても血小板数が十分(5万μL以上)に回復しない場合、または15万μL以上に回復しても再度血小板数が5万μL未満に低下した場合には、血漿交換療法に加えて、インヒビターをつくりだす細胞を減らすための分子標的薬が用いられる場合があります。
寛解期(TTPの発作が
おさまっている時期)の治療2)
血小板数が回復し、医師が寛解したと判断すれば治療は終了となることが多いですが、再発の可能性を考えて、少なくとも数年間は定期的に通院して、血小板数とADAMTS13のはたらきなどを確認することが望ましいとされています。
- ※ ADAMTS13:血小板をくっつける“のり”のような分子で血栓をつくるためにはたらくフォン・ヴィレブランド因子を切断して、必要のない血栓ができないようにする酵素(→フォン・ヴィレブランド因子とADAMTS13のはたらき)
- ※※ インヒビター:ADAMTS13のはたらきを低下させる物質
参考文献
- 1) 難病情報センター 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(指定難病64)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/87 2023年6月30日閲覧 - 2) 厚生労働科学研究費補助金 (難治性疾患政策研究事業)「血液凝固異常症等 に関する研究」 班 TTP グループ 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド 2020
https://www.naramed-u.ac.jp/~trans/news/pdf/ttp.pdf 2023年6月30日閲覧 - 3) 難病情報センター 用語集 血漿交換療法
https://www.nanbyou.or.jp/glossary/%e8%a1%80%e6%bc%bf%e4%ba%a4%e6%8f%9b%e7%99%82%e6%b3%95
2023年6月30日閲覧