医師からのメッセージ
先天性TTPの診断・治療にあたる先生方から、
患者さんへのメッセージをいただきました。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、非常にまれな疾患で、適切な治療が行われないと死にいたるため、かつては難病として恐れられていました。しかし、最近ではこのような希少疾患にも目が向けられるようになり、診断法や治療法が確立されて死亡する確率は非常に低くなり、さらにあたらしい治療法も開発されています。
私はTTPの原因が明らかでない時代からこの病気の研究を始め、新たな検査方法の確立や新規治療薬の開発に携わらせていただきました。それによって、診断が容易になり、TTP治療の選択肢が増え、医療が進歩していることをうれしく思っています。ただ、現在でもTTPによる腎臓や脳などの障害が発生することがあり、死亡される方もおられることは悲しいことです。今後も研究を続け、最新の知見を取り入れたガイドライン作成に携わることで、さらにこの病気の治療成績が良くなるように努力していきます。
患者、ご家族の皆様も、主治医とともに前向きに治療に取り組んでいただきますようお願いいたします。
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は発症頻度が極めて低い病気ですが、適切な治療がなされなければ命を失う危険があります。これまで、TTPの病気の原因を解明する研究や治療効果を検討する研究は世界的にも積極的に行われ、TTP患者さんの診断と治療は大きく改善しています。
ADAMTS13遺伝子変異が原因で起こる先天性TTPの患者さんでは、多くの場合に血小板減少や全身性の血栓症状を予防するために定期的なADAMTS13の補充が必要となります。最近では、ADMTS13を補充する方法として輸血や治療薬など複数の選択肢を持てるようになりました。
TTP研究施設である奈良県立医科大学輸血部は、ADAMTS13検査を通じてTTP患者さんの診断や治療に貢献してきました。先天性TTPの患者数は極めて少なく、患者さん・ご家族・主治医の先生が診断や治療に不安に感じられるかもしれません。私たちは、少しでも多くの情報を発信し、患者さんが安心してTTPの治療を受けられるよう努めて参ります。患者さん・ご家族の方々も、症状・治療内容などで気になることがあれば、担当の先生や周囲の方と積極的に共有していきましょう。