ベクティビックス®の主な副作用と注意点
副作用には個人差があり、すべての患者さんにあらわれるわけではありません。また、どんな症状が、いつ頃、どの程度出るかは患者さんによって異なります。起こりうる副作用を理解することは、早期対処により副作用の重症化を回避し、ベクティビックス®による治療の継続につながりますので大切です。
ベクティビックス®治療中は、ご自身の症状や体調に注意を向けてください。
それぞれの副作用はどんなものですか?
間質性肺疾患
なんらかの原因で、肺組織の中の「間質」と呼ばれる部位に炎症が起こり、肺の機能が低下して呼吸がしにくくなる病気です。場合によっては重い症状になることもあります。以前に間質性肺炎や肺線維症にかかったことがある方は、起こりやすいと考えられています。
咳
息苦しい
発熱
倦怠感(だるさ)
今まで問題なくできた
動作(例:階段を上がる)
が息切れを伴う
注入反応
ベクティビックス®のような抗体医薬品の注入時または注入後数時間以内に起こる薬剤過敏症です。まれにショックなどのアレルギー様症状がみられます。
息苦しい
顔がほてる
胸が痛い
汗が出る
心臓がどきどきする
皮膚障害
ベクティビックス®の治療を受けたほとんどの患者さんでみられる症状です。ときに症状が重くなることがあります。
皮膚障害の発現あるいは悪化を抑えながら、ベクティビックス®での治療を継続するためには、日頃から皮膚に対するケア(スキンケア)が欠かせません。
にきびのような発疹や吹き出もの
ひどいかゆみ
皮膚の乾燥やひび割れ
爪のまわりの炎症 など
スキンケアのポイント
【保清(皮膚を清潔に保つ)】
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①
洗浄剤およびシャンプーは、無香料・無着色・ノンアルコールなど刺激の少ないものを使用しましょう。
-
②
皮膚に刺激を与えないように、泡を立てて、やさしく洗いましょう。
-
③
ぬるま湯でしっかりすすぎ、清潔なタオルで肌を抑えるように洗いましょう。
【保清(皮膚に潤いを与える)】
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①
入浴/洗顔後は乾燥する前に化粧水や保湿剤をたっぷり塗り保湿しましょう。
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②
かゆみが出ているところは保湿剤を多めに、こまめに塗りましょう。
-
③
塗る際は擦ったりせずに優しく抑えるように塗りましょう。
【保護(刺激をさけて皮膚を守る)】
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①
室内では温度や湿度に気をつけて、肌の乾燥をさけましょう(乾燥が気になる場合は加湿器を使い、長時間のこたつや電気毛布の使用はさけましょう)。
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②
直射日光をさけ日焼け止めを使用し、紫外線から皮膚を守りましょう。
電解質濃度の低下(イオンバランスの異常)
血液中のマグネシウム、カルシウム、カリウムなどの電解質濃度が極端に低くなることで下記のような症状があらわれることがわかっています。
吐き気・嘔吐
錯覚や幻覚
軽い疲れ
だるさ
しびれ
筋肉の引きつり
口内炎
口の粘膜(舌、歯ぐき、くちびる、頬の内側)に起こる炎症状態です。
できれば治療開始の2週間前までに歯科医院を受診し、口の中のチェック、クリーニングをしておくことを推奨します。
口の中の痛み・熱い感じ
味がわかりにくい
食べ物を飲み込みにくい
出血 など
(粘膜に白い円形の潰瘍が
できる場合あり)
下痢
ときに症状が重くなることがあります。症状が重い場合、急性腎不全につながる可能性があります。
下痢
脱水
水のような便が出たり、頻回の下痢(1日の排便回数が通常より3~4回多い)がみられる場合は、脱水症状を起こす危険性があるため、すぐに病院にご連絡ください。
セルフケアのポイント
脱水に要注意。水分補給を心がけましょう。
排便時には、肛門を清潔に保ちましょう。
お腹や下半身を温かくしながら、安静にしましょう。
おかゆやうどんなど、消化のよいものを食べるように心がけましょう。
食物繊維の多いもの、脂っこいもの、刺激の強いもの、カフェインの多いもの(コーヒーや紅茶)はなるべく避けましょう。
目の異常
結膜炎、角膜炎などがみられています。目の痛み・違和感、充血、目やに、涙の増加、視力低下、まぶしさを感じやすくなったなどの症状がないか注意してください。
疲れ・倦怠感(だるさ)、吐き気・嘔吐
他の抗がん剤でもみられるように、疲れ・倦怠感(だるさ)、吐き気・嘔吐などの症状がみられることがあります。
*「間質性肺疾患」の項目もご参照ください。