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Persicaria tinctoria H.Gross タデ科(Polygonaceae)
生薬名:藍葉(ランヨウ)・藍実(ランジツ) 薬用部位:葉・果実
古く中国から日本に伝えられ、分布はベトナム南部と考えられている一年草です。徳島県、鹿児島県、沖縄県などで生産栽培されます。草丈は50~60cmで10月に穂状花序の小さな花を密生します。薬効としては消炎・解毒・解熱作用などがあります。また、藍染めには、生地を丈夫にし、防虫効果があると言われています。染料植物として有名で、日本の歴史では奈良時代に中国から朝鮮半島を経て栽培方法と染色技法が伝来しました。江戸時代には庶民に木綿の衣類が普及し、それを染める藍の需要が増大しましたが、明治以降には化学合成染料にとって代わられました。中国の儒学者:荀子(じゅんし)の『勧学篇』にある「青は藍より出で藍より青し」のことわざは、青い色はアイからとって染めるが、もとのアイの葉よりもきれいな青になることから転じ、先生より弟子のほうが才能がすぐれていることの意味です。
10月に穂状花序の小さな花を咲かせます。
たたき染めをした布を洗濯すると葉緑素が流れて、藍色が残ります。葉にインドキシル配糖体インディカンを含み、空気酸化などにより、藍色色素のインディゴになります。
マルバアイ( Persicaria tinctoria H.Gross cv.Rotundifolia)は「京の水藍」と呼ばれ、山城国(現在の京都市南区東九条から上鳥羽)・東寺辺りの水田で作られていたとされています。