Aconitum carmichaeli Debx. キンポウゲ科(Ranunculaceae)
生薬名:ブシ(加工ブシ) 薬用部位:塊根
中国に分布する多年草で、比較的湿気の多い場所に生育します。草丈は60~120cmで、9~10月に青紫色の花を咲かせます。生薬「加工ブシ」は、本種の塊根を加工したもので、アコニチン(ブシジエステルアルカロイド)などの成分を含み、鎮痛、強心、利尿、代謝促進などの作用があります。一般用漢方製剤294処方のうち、八味地黄丸(はちみじおうがん)、桂枝附子湯(けいしぶしとう)など25処方に配合されています。全草にアコニチンなどの強毒成分を含み、呼吸中枢の麻痺や心臓麻痺を引き起こします。
トリカブトの語源には、花の形が昔の中国で用いられていた鳥兜(とりかぶと)と呼ばれる冑(かぶと)、すなわち雅楽奏者の伶人(れいじん)の冠に似ていることから付けられたという説があります。
本種の葉は、春の芽吹きの頃に山菜と間違えて誤食する事故が生じ得るので、採取には注意を要します。
本来は、茎と直接繋がっている塊根(母根)を「烏頭(ウズ)」と呼び、母根の横に形成される塊根(子根)を「附子(ブシ)」と呼んで、用途を分けていました。