Scopolia japonica Maxim. ナス科(Solanaceae)
生薬名:ロートコン 薬用部位:根茎・根
日本の本州、四国、九州に分布する多年草で、山地の湿り気のある林中に見られます。草丈は30~60cmで、早春に芽生え、4~5月に釣鐘状の花を咲かせ、7月頃には地上部が休眠します。生薬「ロートコン」は本種の根茎及び根で、アトロピン(アルカロイド)などの成分を含み、鎮痛、鎮痙などの作用があります。一般用漢方製剤には配合されていません。主にロートエキスの原料として、鎮痛、鎮痙薬などに利用されています。全草にアトロピンなどを含み、大脳皮質の中枢を興奮させ、めまいや幻覚を引き起こします。これら症状により苦しんで走り回ることから、本種の和名が付いたといわれています。
ヨーロッパ東部に分布するScopolia carniolica Jacq.も生薬「ロートコン」の基原植物です。
新芽がフキノトウに似るため、誤食されて中毒を起こす事故が報告されています。
薬用部位の根茎および根は、地上部が休眠する前の5~6月に掘り上げます。