Bixa orellana L. ベニノキ科(Bixaceae)
熱帯アメリカに分布する半落葉性小高木で、現在ではインドで多く栽培されています。本種は茎葉にタンニンが含まれることから中国では「紅木(コウボク)」と称して、下痢や胃腸病に用いられます。種子ならびに種皮には橙赤色の染料色素ビクシン(Bixin)が含まれ、インディオは身体を彩色するときに使いました。また、木綿や絹の染料として重宝されましたが、退色しやすいことから1884年赤色合成染料(コンゴレッド)が出現して以来使われなくなりました。しかし、無毒なところから食品着色染料アナトー(Annatto)の名で、主に乳製品、ハム、ソーセージ、明太子、かにかまぼこなどの着色に使われています。また、フィリピンなどでは根を高価なサフランの代用品として、そのまま香辛料・着色料として用いています。
花は淡紅色~白色で径5cmの大きさとなります。花弁は5枚で、おしべは多数見られ、枝先に円錐花序を形成します。
果実はやや扁平な卵形の蒴果で、栗のいがのように見えます。熟すと赤褐色の果実が二つに割れ、その中から真っ赤な種子が現われます。
カロチノイド系の橙色の色素で、ビキシン、ノルビキシンです。ノルビキシンはアルカリ性で水に溶解し、染着性に優れていますのでソーセージ等の外皮の着色によく用いられます。