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Tanacetum cinerariifolium (Trevir.) Sch. Bip. キク科(Asteraceae)
バルカン半島のダルマチア地方に分布する多年草で、「ジョチュウギク」や「ムシヨケギク」ともよばれます。高さ30~80cmになり、茎葉全体に白色の絹毛があるのが特徴です。全草、特に頭花に殺虫成分のピレトリンなどを含むため、その粉末が蚊取り線香、のみ取り粉、農業用殺虫剤の製造原料に利用されます。ピレトリンは、昆虫などの神経系統に作用して全身麻痺や運動不能を引き起こす殺虫成分ですが、人や鳥などには比較的毒性が低く、自然界では容易に分解してその毒性を失います。日本では1887年に栽培が始まり、1935年頃には世界一の生産国としてその9割を輸出していました。
5~7月にかけて開花する頭花を乾燥したものが、かつて日本薬局方に収載された「除虫菊(ジョチュウギク)」です。
近縁種のアカバナムシヨケギク(P. coccineum Willd.)は、ジョチュウギクと比較してピレトリン含量が少ないです。
現在の蚊取り線香には、主に化学合成品が使われています。