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Pimenta dioica (L.) Merr. フトモモ科(Myrtaceae)
中米に分布する常緑小高木で高さ6~9mに達します。オールスパイス(Allspice)の名は三大スパイスのクローブ、シナモン、ナツメグの香味を併せもつことに由来します。本種の果実にはクローブと同様にオイゲノール、メチルオイゲノールを含み、防腐・抗菌作用などを有します。主にスパイス業界では完熟前の果実が「ピメント」と称され、採取後、約1週間天日乾燥して香辛料として用いられます。中米では、コショウやクローブなど高価な東洋のスパイスに比べて、産地が近く入手が比較的容易であったことから、マヤ文明の頃は多く使用されました。主産地のジャマイカにちなんで「ジャマイカペッパー」とも呼ばれています。
果実の形状は、直径1cmでコショウ( Piper nigrum L.)に似ており、芳香は、特に果皮に多く含まれます。
古い樹皮が剥がれ落ちる様は、フトモモ科の特徴の一つでもあります。
同属植物にはベイラムノキ( P. racemosa J.w.Moore.)があり、地上部の形態も類似しています。