Ipomoea nil (L.) Roth ヒルガオ科(Convolvulaceae)
(局方)Pharbitis nil Choisy
生薬名:ケンゴシ(牽牛子) 薬用部位:種子
中国南部から東南アジアにかけて分布するつる性の一年草です。草丈は1.5~2.5mになり、7月~8月に開花します。本種は代表的な短日植物で、日長が短くなると花芽を分化する習性があります。日本へは 奈良時代~平安時代に伝わったとされ、江戸時代に入って紫色、赤色、茶色などの花が作出されました。生薬「ケンゴシ」は本種の種子で、ファルビチン(樹脂配糖体)などの成分を含み、緩下などの作用があります。一般用漢方製剤294処方のうち、八味疝気方(はちみせんきほう)の1処方に配合されています。
「牽牛子」の「牽牛」はアサガオを意味しますが、その由来は「夜空に牽牛星が現れる七夕のころに花が咲くため」など諸説あります。
熱帯アメリカに分布する同属のマルバアサガオ(I. purpurea (L.) Roth)の種子にも同様の作用があり、中国では生薬「ケンゴシ」として扱われます。
チョウセンアサガオ(Datura metel L.)はナス科に属する植物で、アサガオの近縁種ではありません。