植物のご紹介

ヒメウイキョウ

ヒメウイキョウ

Carum carvi L. セリ科(Apiaceae)
西アジアからヨーロッパ東部にかけて分布する一年草または二年草で、日当たりのよい荒地を好みます。高さ30~60cmになり、夏に小さな白い花を多数つけます。生薬「カルム実」は、本種の果実を乾燥させたもので、本種の種小名に因んだカルボンなどの精油成分を含みます。また根には発汗、解熱、鎮痛作用があるといわれています。我が国には明治元年に初めて導入されましたが、本種の栽培の歴史は非常に古く、聖書にも述べられているほか、5000年以上前のアラビア半島の遺跡から、本種の種子がその残存食物の中に発見されています。

「キャラウェイ」や「キャラウェイシード」と呼ばれる本種の果実は、果皮が乾燥した乾果の一種です。そのため、果実と種子との区別がつきにくいため、たびたびシードと呼ばれます。

キュンメルは、本種の果実を精製アルコールにつけ、糖分を加えた香味の強い無色のリキュールです。

本種の和名は、ウイキョウ(Foeniculum vulgare Mill.)に草姿が似ていて、それより小型であることに由来します。