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Phellodendron amurense Rupr. ミカン科(Rutaceae)
生薬名:オウバク(黄柏) 薬用部位:樹皮
日本、中国北部、朝鮮半島などに分布し、高さ15mに達する雌雄異株の落葉高木です。和名は、厚いコルク層の内部樹皮が鮮やかな黄色を呈することに由来します。生薬「オウバク」は本種の周皮を除いた樹皮で、ベルベリン(アルカロイド)などの成分を含み、健胃、消炎などの作用があります。一般用漢方製剤294処方のうち、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、温清飲(うんせいいん) など19処方に配合されています。また、苦味健胃整腸薬として生薬製剤の原料にも用いられます。川柳で「だら助(陀羅尼助)は腹よりはまず顔に効き」と言われるように、苦味の強い薬で、奈良県吉野の大峰山の山伏が常備した薬として知られています。 そのほか、打撲時の外用や、抗菌効果を期待して経典や貴重品などを包む布の黄色染料としても用いられます。
表面のコルク層を除いた内部樹皮は、鮮やかな黄色を呈し、この部分が薬用や染料になります。
雌雄異株で、5~6月になると枝先に円錐花序の小さな黄緑色花をつけます。この花は雌株です。
果実は秋に黒く熟し、5個の種子を含みます。