ASDの代表的な特性は大きく分けて「人との関わりやコミュニケーションが苦手」、「興味にかたよりがある・こだわりが強い」、「感覚と運動にかたよりがある」の3つです。
ここに、ASDの子どもにみられる主な特性と代表的な行動や事象の一部を記載しています。ただし、ASDの特性の現れ方はさまざまで、必ずしもこれら全てがみられるわけではありません。また、これらの行動や事象がみられる子どもが全てASDであるというわけでもありません。
人との関わりやコミュニケーションについて
ASDの子どもは、「状況を理解し、それに適した対応を選んで実行する」というプロセスに何らかの問題があると考えられています。また、「人」よりも「物」に関心が向きやすい傾向もみられます。
マイペースな行動が目立つ
相手の状況を考えずに、自分の言いたいことを中心に話す。友だちと遊んでいる最中に他のことに興味が向くと、勝手に抜けてしまう。周りから、わがままだと思われてしまうことがある。
言葉の通りに受け取り、空気を読むことが苦手
言葉を表面的に受け取りやすく、相手の表情や態度から気持ちを読み取ることが苦手。例え話や冗談を真に受けてしまう。場にそぐわない態度や行動をとってしまう。
言葉遣いやコミュニケーションの方法が独特
言葉が出にくかったり、年齢のわりに大人びた言葉遣いをする。話しかけると同じように言葉を返す(オウム返し)。
興味のかたよりとこだわりの強さについて
ASDのある子どもは、先のことを想像して臨機応変に対応することが苦手なため、予定の変更や今後の見通しがたたないことに不安を感じます。そのため、同じ行動や物にこだわり、いつもと同じことに没頭することで、安心感を得ていると考えられています。
気持ちの切り替えが苦手
相手や状況に応じて気持ちを切り替えられない。
いつもしていることができない状況になるとパニックになる。ゲームで1番になれないと怒る。
好きなことにとことんこだわる
特定の領域では専門家並みの知識を持っている。
目で見たものの記憶力がよく、後から再現できる。
繰り返し同じ動きをする(常同行動)
回る、跳ねるなどの同じ動きを繰り返し行う。ドアの開閉を繰り返す。同じところを行ったり来たりする。
感覚と運動のかたよりについて
ASDのある子どもは、「感覚→脳→体」の伝達や指令がうまくいかないために、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚が過度に敏感または鈍感であったり、体の動かし方が極端に不器用であったりします。
感覚が敏感または鈍感
ほかの人が気にならない感触や音、光などに強く反応する。味覚が敏感で、好き嫌いが激しい。痛みに敏感または鈍感なことがある。敏感な場合、注射の時に暴れてしまうことがある。温度に鈍感で、寒い日でも半袖や半ズボン、ショートパンツなど薄手の服を着る。
細かな動作や運動が苦手
手で握ったり、何かをつまんだりする動作が苦手。
ボール遊び、マット運動、縄跳びなどのしなやかな動きが必要な運動が苦手。
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ADHD保護者向けサイトのページに移動します。監修
- 前多小児科クリニック 院長 前多 治雄 先生