LD/SLDってなに?

LD/SLDについて知ろうLD/SLDについて知ろう

学習面において得意なものと不得意なものの差が著しく大きいといった特性から、ほかの人から誤解されてしまったり、進学や学校生活に支障が生じたりと、生きづらさを感じてしまう子どもがいます。このような背景には、神経発達症群(発達障害)の一つであるLD/SLD(学習障害/限局性学習症)が関係している場合があります。

※LD/SLDとは、Learning Disabilities/Specific Learning Disorderの略語で、日本語訳では「学習障害/限局性学習症」や「学習障害/限局性学習障害」などと呼ばれています。

LD/SLDとは

LD/SLDとは、神経発達症群(詳細は下記をご覧ください)の一つで、全般的に知的発達に遅れはないものの、「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」、「計算する」、「推論する」といった能力のうち、特定の能力について習得が難しかったり、うまく発揮できなかったりすることで、学習面でさまざまな困難に直面している状態のことです。 2022年に発表された文部科学省の調査では、「知的発達に遅れはないものの学習面で著しい困難を示す」とされた学齢期の子どもは6.5%と推定されました
LD/SLDのある子どもは、特定の分野だけが苦手なため発見が遅れやすく、多くは本格的な学習が始まる就学以降に明らかになります。しかし、就学前から形を認識できなかったり、大人の説明がわからなかったりとつらい思いをしている場合も少なくありません。また、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)を併せ持つことも多く、それらの特性がLD/SLDによる学習の困難さを強めている可能性もあります。

※LD/SLDには教育的定義と医学的定義がありますが、ここでは教育的定義を基に解説しています。

*文部科学省ホームページ:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について https://www.mext.go.jp/content/20230524-mext-tokubetu01-000026255_01.pdf

神経発達症群(発達障害)とは

神経発達症群(発達障害)とは、特定の能力や一連の情報の獲得、維持、適用に発達上のかたよりがあることで、生活に悪影響が生じる神経学的な状態をいいます。神経発達症群(発達障害)はいくつかのタイプに分類されており、 LD/SLDのほかに、ADHD、ASDなどがあります。

「読む」ことの障害に関連する事象

以下のような事象が、年齢で期待されるものと比べて苦手であり、少なくとも半年以上にわたって続き、学習に悪影響を及ぼすことがあります。

  • 文字や単語を発音できない、間違った発音をする
  • 音読をするときに文字や単語を抜かすことがある
  • 読むスピードが遅い
  • 音読はできるが、意味を理解できない
  • 形の似た文字を読み間違える
  • 意味で区切ることができず、1字ずつ読んでしまう

「書く」ことの障害に関連する事象

以下のような事象が、年齢で期待されるものと比べて苦手であり、少なくとも半年以上にわたって続き、学習に悪影響を及ぼすことがあります。

  • 鏡文字を書く、漢字を書き間違える
  • 複雑な文章を書くのが苦手
  • 文法の誤りが多い
  • 文字を書き写すのが苦手

「聞く」・「話す」ことの障害に関連する事象

以下のような事象が、年齢で期待されるものと比べて苦手であり、少なくとも半年以上にわたって続き、学習に悪影響を及ぼすことがあります。

  • 聞き取り間違いが多い
  • 長い話に集中できない
  • 話が回りくどく、筋道をたてて話すことが苦手
  • 言葉で言いたいことを伝えられない

「計算する」・「推論する」ことの障害に関連する事象

以下のような事象が、年齢で期待されるものと比べて苦手であり、少なくとも半年以上にわたって続き、学習に悪影響を及ぼすことがあります。

  • 数字の位取りが理解できない
  • 繰り上がり、繰り下がりのある計算が苦手
  • 九九を暗記できても、計算のときに使えない
  • 文章問題、図形問題が苦手
  • 因果関係を理解して説明するのが苦手

LD/SLDの原因

LD/SLDの原因はまだはっきりとわかっていませんが、さまざまな要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの「脳」の機能に原因があると考えられています。視覚や聴覚の障害、情緒障害、環境的な要因が直接的な原因ではありません。また、親の育て方や本人のやる気などとも関係がないことがわかっています。

LD/SLDについて知っておきたいこと

「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」、「計算する」、「推論する」といった能力は、いずれも知的発達を構成するものです。一方で、LD/SLDの診断は「基本的には全般的な知的発達の遅れがないこと」が条件の一つとなっています。つまり、LD/SLDの子どもは、それぞれに苦手な分野がありながらも、それらを補う得意な分野も持っていると考えられるのです。
LD/SLDの子どもは、周囲の人々の理解と支援で成長します。得意なことをほめられれば自信がつき、不得意なことに取り組む姿勢も育ってくるでしょう。

監修

  • 前多小児科クリニック 院長 前多 治雄 先生
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