LD/SLDの子どものことを正しく理解する
LD/SLDの子どもの場合、苦手なこと以外の学習能力は平均以上になることも多々あります 。そのため、周囲から気づかれにくく、苦手なことや科目について「やる気がない」「勉強不足」などと誤解されてしまいがちです。しかし、それはLD/SLDの子どもが「頑張っていない」のではなく、生まれつきの脳の機能障害によるものなのです。
LD/SLDの子どもが誤解されがちなこと
例えば・・・
- 先生から口頭で出された指示内容が理解できず、言われたとおりに行動できなかった
- やる気がない、協調性がない、人の話を聞いていないなどと思われがち
- 先生に「あと5分でやめましょう」と言われても、時間の長さを想像するのが難しく、予定の時間を過ぎても遊びを止められなかった
- ルールを守れない、自分勝手などと思われがち
- 先生の話した内容をメモしたり板書を書き写したりするのが苦手なため、ノートをとれなかった
- まじめに取り組んでいない、やる気がないなどと思われがち
子どもが困ったままでいると
LD/SLDの子どもは、その特性がゆえに頑張ってもできないことが悔しいという気持ちを抱えたり、周囲の人にからかわれたり、大人から叱られたりしてしまうことがあります 。 時には、「やればできる、頑張ればできる」といった精神論的な励ましにも傷つくことがあります。 また、学力面に困難さがでてくると、そのほかの運動や部活動、友人関係などで楽しみがない限り、学校へ行くことが苦痛になってしまうこともあります。 そうした困難を周囲から理解されないままに過ごしてしまうと、できない自分を責める、自信を失う、自己肯定感が下がるなどして、二次的な問題を引き起こしてしまうことがあります。
LD/LSDの子どもに起こる可能性のある二次的問題
- 教科書や板書が読めず、一生懸命努力してもなかなか読めるようにならないことから「頑張ってもどうせできない」「自分には能力がない」と自信がなくなり、勉強への意欲や自尊心が低下し、しだいに学校にも行かなくなってしまった
- 努力してもうまくいかないことで、叱られたり友人関係でのトラブルが生じたりすることが多く、自分に対する怒りや自分に注意してくる人・できないことを要求してくる人への反感を抱くようになり、周りの人に反抗的な言動をしたり、ルールを破ったりするようになった
早期からのサポートが大切
お子さんの様子をみて、これからの学校生活や将来に不安を感じることもあるかもしれません。しかし、もしLD/SLDと診断されたとしても、お子さんの得意や不得意を理解し、できるだけ早期から適切なサポートをすることで学校生活や社会での困難や問題を軽減できる場合があります。また、そうした早期からのサポートはお子さんの自信喪失や人間不信、不登校などの二次的問題を防ぐことにつながります。
監修
- 前多小児科クリニック 院長 前多 治雄 先生