LD/SLDの特性

LD/SLDの特性LD/SLDの特性

LD/SLDの子どもでは、全般的な知的発達に遅れはみられませんが、「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」、「計算する」、「推論する」などの能力のうち、特定のものに著しい困難を示します。ただし、苦手な分野が同じLD/SLDの子ども同士であってもその理由はさまざまです。
以下にLD/SLDの子どもにみられる主な特性と代表的な事象の一部を記載しています。ただし、LD/SLDの特性の現れ方はさまざまで、必ずしもこれら全てがみられるわけではありません。また、これらの行動や事象がみられる子どもが全てLD/SLDであるというわけでもありません。

「読む」ことが苦手

眼球運動の機能に問題があったり、言葉のまとまりを認識する力などが弱いために、読むことが難しい場合があります。

文字を目で追うのが難しい

本読みの際に、何度も同じ行を読んでしまったり、読み飛ばしてしまったりする。

文字の見え方に問題を抱えている

文字がにじんだり、二重に見えたりして、文章を読むことが難しい。

言葉のまとまりや意味を意識して読めない

「り」「ん」「ご」のように、文字を1つずつ読むことはできるが、「りんご」という1つの言葉として認識したり、意味を理解したりするのが難しい。

「書く」ことが苦手

文字の奥行や位置関係を認知する力が弱かったり、一時的な記憶を担うワーキングメモリの機能などに問題があるために、書くことが難しい場合があります。

文字のかたちや大きさのバランスがとれない

文字の大きさにばらつきがあり、ノートのマスや罫線からはみ出る。鏡文字になってしまう。

感覚にかたよりがあり手先が不器用

鉛筆を正しく持てない。筆圧が強すぎたり弱すぎたりする。力加減がわからずに、いつも消しゴムでノートを破いてしまう。

書き写しが苦手

一時的な記憶ができずに、先生の話や板書をノートに書き写すことが苦手。

「聞く」・「話す」ことが苦手

注意力や音を聞き分ける力が弱かったり、聴覚過敏があるために、話を聞くことが難しい場合があります。また、脳内の情報処理が苦手な場合は、話すときに言葉が出づらくなることがあります。

必要な音や声だけを聞き取ることが苦手

周囲がザワザワとしている状態で、先生の声だけを選んで聞き取ることが苦手。
わずかな騒音でも大きな音に聞こえてしまい、必要な音が聞こえなくなる。

似た音や、よう音・促音などの聞き分けが苦手

「はち」と「はし」のように似た言葉の聞き分けが難しい。
「きゃ」を「きょ」や「きや」と思ってしまったり、「ねっこ」を「ねこ」と聞いてしまったりする。

頭の中の情報を整理して文章や言葉にするのが苦手

話を聞いて理解できても、自分が話す順番になると言葉が出てこない。

「計算する」・「推論する」ことが苦手

ワーキングメモリの機能に問題があったり、視覚的な認知力が弱かったりするために、計算や推論することが難しい場合があります。

計算することが苦手

いつまでも指を使わないと計算ができない。
数の概念(数の大小・順番、小数・分数など)が理解できない。

図形やグラフの問題を解くことが苦手

図や形を正しくとらえることができず問題を解くことができない。
コンパスや定規で線や図形を書くことが難しい。

推論や予測が必要な問題が苦手

推論する力が弱く、数字から量や大きさを想像することができない。

監修

  • 前多小児科クリニック 院長 前多 治雄 先生
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