治療の目標
LD/SLDの治療はLD/SLDの症状をなくすことが目標ではありません。子どもがLD/SLDと上手に向き合って、落ち着いた日常生活や学校生活を送れるようにすることを目指します。
LD/SLDの特徴を「自分らしさ」として折り合いをつけたり、適切な教育的支援を受けることで子どもに自信をつけさせ、成長を見守っていきましょう。
治療の種類
LD/SLDの治療に「薬物療法」はなく、子ども一人ひとりの特性に合わせた「心理社会的治療」が行われます。学習面での困りごとを軽減させるために、子どもの学習をサポートするような環境調整を実施したり、学習に必要な機能のトレーニングに取り組みます。
心理社会的治療
環境調整や子どもへの対応を工夫し、 LD/SLDの子どもが生活しやすいようにします。
- ●親ガイダンス(保護者との面談)
- ●環境調整
- ●保護者への養育支援(ペアレントトレーニング)
- ●ビジョントレーニング など
環境調整
LD/SLDの子どもの特性は一人ひとりちがいます。そのため、学校生活を送る上でどんなことに困っているのかを把握することがとても大事です。そして、その特性に合わせた環境づくりをしていきます。
- 音読がうまくできないとき
- 行間に線を引く、マーカーで1行ごとに色をつける、文節ごとに区切るなど
- 字をうまく書けないとき
- どこに字を書けばいいのかわかるよう補助線を引くなど
- 繰り上がり、繰り下がりの計算ができないとき
- 計算用紙にあらかじめ、繰り上がりや繰り下がりの数字が書き込めるよう工夫をするなど
保護者への養育支援
(ペアレントトレーニング)
保護者がLD/SLDの子どものことを理解し、良好な親子関係を保ちながら、 LD/SLDの子どもの行動に対応できるようにするための、保護者に対するトレーニングです。子どもの行動に対して、具体的な対処法を学びます。
以下に代表的なポイントを示します。
- 宿題に取り組んでいるところをしっかりと見て、いいところを見つけてほめる
- わからない問題や、できない箇所があった場合はヒントを出して、一緒に取り組む
- 間違いは注意するが、欠点は指摘しない
ビジョントレーニング
ビジョントレーニングは眼を滑らかに動かす、ものの位置や動きをとらえるといった、「見る」能力を高めるための訓練です。この能力を鍛えることで、読み書きに関連する困りごとの解決を目指します。ビジョントレーニングにはさまざまな方法があり、施設により内容は異なります。
監修
- 前多小児科クリニック 院長 前多 治雄 先生