※規定どおりにワクチンを接種していてもその病気にかかってしまうこともあります。
乳児は感染症に対する免疫が未発達のため、重症化しやすく入院が必要になったり、命にかかわったりする場合があります。感染症にかかりやすい時期に達する前にワクチンで予防しておくことが大切です。全体のスケジュールや病気にかかるリスクを考えると、初めてのワクチンは生後2ヵ月になったらすぐにはじめましょう。
(※)ワクチンの間違いを防止するために、各ワクチンごとに予診票、ワクチンバイアルのキャップ、ラベルなどの色が統一されています。
その各ワクチンの色を示しています。
細菌性髄膜炎
Bacterial meningitis
感染経路
飛沫感染
対応ワクチン
1歳前後の赤ちゃんがかかりやすい
小児の細菌性髄膜炎はインフルエンザ菌b型(Hib)や肺炎球菌、B群連鎖球菌などの細菌が、脳や脊髄を包む髄膜にまで入り込んで起こる病気です。治療が遅れると命にかかわったり、重い後遺症が残ったりすることもあります。約10年以上前までの日本では、毎年約千人の子どもが細菌性髄膜炎にかかっていましたが、2つのワクチンの効果で患者数が減少してきています。原因となる細菌はHibや肺炎球菌が多く、ふだんから多くの子どもたちの喉や鼻の奥にすみついている身近な菌のため、いつ、だれがかかるかわかりません。早期発見、早期診断が難しく、治療の難しい病気なのでワクチンで防ぎましょう。
百日せき
Pertussis
感染経路
飛沫感染
対応ワクチン
1歳未満でかかると重症化しやすい!
咳やくしゃみの中に含まれる百日せき菌を吸い込んで感染します。1歳未満の赤ちゃんがかかると重症化しやすいため、早めの予防接種が肝心です。連続した咳が長く続き、激しく咳き込むようになります。また息を吸うとき、笛を吹くような音がします。0歳児は肺炎や脳症を併発して呼吸困難、チアノーゼ、けいれんなどを起こし、突然の呼吸停止などで死亡することもあります。年齢が高くなるほど症状は軽くなりますが、治癒までには通常1~2ヵ月かかり、名前のとおり100日くらいかかることもあります。
インフルエンザ
Influenza
感染経路
飛沫感染
対応ワクチン
毎年冬のシーズン前にワクチン接種を
インフルエンザは、インフルエンザにかかった人のくしゃみや咳の際、つばなどと一緒に放出されたウイルスを、鼻腔や気管などに吸入することで感染します。
日本など北半球の温帯では例年11月から4月に流行します。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛といった全身の症状が強く、喉の痛み、鼻汁などの呼吸器症状も見られます。さらに、気管支炎や肺炎、子どもの場合は中耳炎や熱性けいれん、急性脳症などを併発して重症化することがあるのも特徴です。インフルエンザウイルスは毎年のように変異しながら流行を繰り返すため、予防接種は毎年受けることがすすめられます。流行期である初冬から春先に備えて、遅くとも11月末までにワクチンの接種を済ませておくとよいでしょう。
0歳のときに接種するワクチンは、BCG、DPT-IPV(四種混合)[ジフテリア、百日せき、破傷風、ポリオ]の1期、Hib、肺炎球菌(13価結合型)、B型肝炎(水平感染予防)、ロタウイルスなどがあります。最も接種スケジュールの忙しい時期。体調のよいときに上手に接種しましょう。