ADHDの子どものことを正しく理解する
ADHDの子どもは困っていることに気づかれにくく、本人の努力不足や親の育て方のせいではないのに、周囲の人から見ると、「わざとやっている」「頑張りが足りない」「しつけが足りない」など不思議な行動だと誤解されたりする場面が多くなりがちです。
しかし、それはADHDの子どもが「わざとやっている」のではなく、ADHDによるものなのです。
ADHDの子どもが誤解されがちなこと
例えば・・・
- 約束や物を借りたことをうっかり忘れてしまう
- わざとやっている、誠意がないなどと思われがち
- どうしても体が動いてしまう
- 落ち着きがない、やる気がないなどと思われがち
- 感情のコントロールが難しいため、カッとなったら抑えられない
- 乱暴、怒りっぽいと思われがち
子どもが困ったままでいると
ADHDの子どもは、上で記述した事象のため、友だちとトラブルになったり、学校でも孤立したりすることがあります。また、周りの人たちから理解してもらえず、親や先生から叱られることが多くなりがちです。
ADHDの子ども自身が困っていることに気づいてもらえず、周りの理解や適切なサポートのない状態が続くと、二次的な問題が起こりやすくなります。
ADHDの子どもに起こる可能性のある二次的問題
- 「何をやってもダメ」、「どうせ認めてもらえない」と自信を失い、自尊心が低くなったり、意欲がなくなり、時には部屋に閉じこもったり、学校に行かなくなったり、気分が落ちこみ自分を責めてしまう
- 日常生活や学校生活で叱られてばかりいると疎外感やいきどおりがつのり、時には周囲に対して反発したり、物にあたってしまう
早期からのサポートが大切
お子さんの行動をみて将来に不安を感じることは、誰にでもあるでしょう。もしお子さんがADHDと診断されたとしても、早期から適切にサポートすることで、自信や自尊心を失わずに社会へうまく適応できるようになる場合があります。そのためには周囲の理解や支援が欠かせません。
監修(五十音順)
- 社会福祉法人 恩賜財団母子愛育会 愛育相談所 所長 齊藤 万比古 先生
- こころとそだちのクリニック むすびめ 院長 田中 康雄 先生
- 信貴山病院 ハートランドしぎさん 副院長 根來 秀樹 先生*
- 東海大学 医学部専門診療学系精神科学 教授 松本 英夫 先生
- 東京家政大学 子ども学部子ども支援学科 教授 宮島 祐 先生
- *監修いただいた際のご所属先とは異なります