ASDの治療は、「心理社会的治療」を中心に行われます。一人ひとりに合った治療計画を立て、 環境調整などを行い、対人関係能力や、社会性などが身につくように支援をします。ASDの根本的な「薬物治療」はありませんが、症状を緩和させる薬剤を使用することがあります。
ASDの心理社会的治療
ASDと診断されて検討されるのが、この「心理社会的治療」です。心理社会的治療の一部を紹介します。
環境調整
本人の困難さに沿って、生活しやすいように周囲の環境を工夫することを「環境調整」といいます。例えば、時間割に変更があったとき、あらかじめ予定の変更を伝え、変更したことを一目で分かるようにする、などの対応が考えられます(「全ての子どもが過ごしやすい学級づくり」の詳細はコチラ)。
行動療法
望ましい行動ができたときには褒めるなど、子どもにとって好まれるフィードバックを行い、望ましい行動を強化させます。望ましくない行動については、その行動を強化してしまうようなフィードバックを避けます。あるいは、その行動に先行する状況やきっかけが生じない方法や、行動の後の対応への工夫を検討します。
ソーシャルスキル・トレーニング(SST)
社会や周り(ソーシャル)とうまく関わっていくために必要な技術(スキル)をあらかじめ身につけるためのトレーニングです。最近は療育の場や医療機関だけでなく、教育現場でも広まりつつあります。人とのやり取りや感情のコントロールの仕方、学校生活の送り方などを、指導者と一対一や小集団グループで学びます。状況に応じて適切な行動をとれるようになることは、自己肯定感を高めることにもつながります。SSTでの学びを復習することがとても大切になります。
ペアレントトレーニング
同じ悩みを持つ保護者が集まり、行動療法の理論に基づいて子どもの行動を理解し、関わり方を知るプログラムです。子どもの適切な行動を増やすとともに、不適切な行動を減らしていくような関わりを学んでいきます。親子のやり取りがスムーズになり、保護者のストレスが軽減されることも目的の一つです。最近は医療機関だけでなく、自治体全体で子育て支援の一つとして取り組む地域も出てきています。
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ADHD教育関係者向けサイトのページに移動します。監修
- 前多小児科クリニック 院長 前多 治雄 先生