発達障害の特性はパッと見ただけではわからないため、周囲の子どもたちの理解を促すのも少し難しくなってきます。また、自分たちと同じように見えるのに、「自分や周りの友達と違う」と感じ、特性のある子どものことが気になっている子もいるでしょう。特性のある子どもの行動の理由と具体的にどんなことを悩んでいるかを教師が理解した上で、クラスのほかの子どもたちの疑問や気持ちも受け止めながら対応することが必要です。
子どもたちは教師の振る舞いから学ぶ
子どもたちは、教師の振る舞いをとてもよく見ています。なかなかクラスにうまく適応できない子に対して、教師が「困った子」といった視線を向け、批判的な言葉をかけていると、子どもたちもその子のことを「困った存在」として見るようになってしまうこともあります。 そういった誤った対応をしてしまったがために、特性のある子どもがほかの子どもからも理不尽な扱いを受け、傷つき不登校になってしまうことも考えられます。
一方で、教師がその子が困っていることを理解し、どうしたらよいかを一緒に考えてサポートする、新しいことができるようになったら一緒に喜ぶ、というように温かい眼差しで関わっていると、周囲の子どもたちもその子を理解しようとするかもしれません。中には、教師の接し方をまねて、自分なりの支援の方法を探る子も出てくるでしょう。
周囲の子どもたちの思い
クラスの子どもたちはどのように感じているのでしょうか。「周りの友達と違う」と感じながらも何が違うのかわからずモヤモヤしている子ども、「授業中ウロウロしている」ことを不思議に思っている子ども、「先生が特別扱いしている」と感じている子ども、理解に苦しむ行動を不快に感じる子どもなどさまざまな思いを持つ子どもがいるかもしれません。
こういった疑問や心のひっかかりを抱えたままになってしまうと、周囲の子どもたちにもストレスが募ります。するとそれが、特性のある子どもへのいじめなどの攻撃につながってしまったり、クラス全体がざわざわと落ち着かない雰囲気になってしまったりすることもあります。
したがって、周囲の子どもたちの「なぜ?」に対して、できるだけ丁寧に答えていくことが必要です。
一方、特性のある子どもがいじめられている場合に、そのことを自覚できない場合があるため、クラスの様子を注意深く観察することが大切です。困っている特性のある子どもを助けてくれる友達がいるかもしれませんが、おもしろがってからかったり、いじめたりする子どももいるでしょう。特性のある子どもが気になってしまうからといって、いじめは許されるべき行為ではありません。いじめてしまう子どもには注意を払うことが必要でしょう。
● いじめている子や、からかっている子を見つけたら、すぐにやめさせる
● いじめの経緯を把握するため、いじめている子、いじめられた特性のある子ども、両方の言い分を聞く
● いじめている子に対しては、「嫌がらないからやった」という理屈は通らないことを示す
● いじめの兆候に気づいたら、状況をできるだけ早く把握し、対処する