※本コンテンツは、ADHD以外の発達障害と共通する内容が含まれています。
診断はされていないけれども、「うちの子はもしかしてADHDかしら?」と悩んでいる保護者もいるでしょう。そのような場合、教師は保護者の揺れ動く思いや、言動からみられる本音に耳を傾け、配慮して関わる必要があります。
保護者のさまざまなタイプ
わが子の様子に不安を感じながらも、それを周りの人には悟られないようにしたい保護者、教師と共有しようとしない保護者、積極的に相談をしてくる保護者など、さまざまなタイプがあります。
どの保護者も胸中は複雑で、「うちの子は大丈夫なのだろうか」と心配しつつも、「でも、ADHDとは認めたくない」という思いが心の大半を占めていたり、エネルギッシュな子どもの育児に疲れ、なかなか前向きな気持ちになれず、問題行動にばかり目がいってしまっていたり、「今、ちょっと遅れているだけで、いつかきっと追いつく」と思うことで気持ちを安定させていたり、子どもの気になる様子や発達の遅れに気づいていないように見える保護者も、内心は不安でいっぱいだったり、さまざまな思いに揺れ動いたりしているかもしれません。また、本やインターネットなどで情報を集め、一人で不安を抱えていることもあるでしょう。
保護者の思いに近づくために
「疑い」の段階だと、周囲の人もその子の行動を理解できずに、つい厳しい視線を親子に向けてしまい、保護者が気まずい思いをすることが多くなりがちです。また逆に、子どもが小さい段階から「何かおかしい」と感じ、相談機関や専門機関を訪ねて相談しても、「単に元気がよいだけなのでは?」「まだ小さいので、もう少し様子をみましょう」と言われ、なかなか周囲に理解されずに一人で悩みを抱え込んでしまっている場合もあります。また、家族に相談しても「うちの子を障害者扱いするのか」「気にしすぎだ」と言われ、家族の中で悩みを共有できないつらさを感じていることもあるようです。
このようにADHDの疑いのある子どもの保護者は、多くの不安やどうしてよいかわからない戸惑いの中で、複雑な思いを抱えています。教師は、表面上に現れる保護者の言動だけで判断するのではなく、これまでの保護者の葛藤を想像しながら関わることが大切になります。