特性のある子どもへの個別の対応と同時に、クラスのほかの子どもたちにも不満が出ないような指導を行うことも大切で、それが難しい点でもあります。特性のある子どもに関わる際に、周囲の子どもたちに対しても配慮したいことについて、そのポイントを挙げてみます。
クラスの子どもたちを放っておかない
離席して教室を出て行ってしまう子がいた場合、クラスの子どもたちに何も言わずに、その子どもを追いかけて教師も教室を出て行ってしまうようなことは避けましょう。
「ドリルの○ページをやっていてください」などと伝え、だれかクラスを見守っていてくれる先生を確保するようにしましょう。また、「あの子は特別だから」と離席を黙認するのも望ましくありません。クラスにその子の特性について話している場合は、その子と交わしたルールについて説明し、その子も自分なりに努力をしていることを伝え、クラス全体で見守っていけるような雰囲気をつくっていきましょう。
不公平感が出ないようにする
特性のある子どもが別室でクールダウンしていたため、割り当てられた当番ができなかった場合に、「当番をさぼっていても大目にみられる」と受け止めて不満に思ってしまう子がいるかもしれません。やるべきことをやっていない場合にはどの子にも注意をする、いい行動をしたらどの子も褒めるなど、教師の一貫した態度が重要になります。
周りの子の思いも汲み取る
例えば行事に向けての練習などで、集中することが難しい特性のある子どもに対して、熱意があるがゆえに強い口調で注意してしまう子もいます。しかし、注意した子に対して、「そんなこと言っちゃいけない!」などと頭ごなしに否定してしまうと、その子のやる気を削いでしまうことになります。熱意のある子の思いも汲み取りつつ、特性のある子どもも頑張っていることを伝え、「みんなで一緒に練習を頑張りましょう」などとクラスの子どもたちの気持ちがバラバラにならないように配慮することが必要でしょう。
特定の子に任せきりにしない
面倒見のいい子や責任感の強い子が、積極的に特性のある子どものサポートに回ってくれることもあるでしょう。しかし、だからといって「Bさんに任せておけば大丈夫」と任せきりになってしまうと、「なんで、わたしばっかり」と重荷になってしまうこともあります。Bさんに感謝の気持ちを伝えつつ、いつも特定のグループ編成にならないようにするなどといった工夫も考えてみましょう。