免疫とは、体の中に入ってきた病原体やアレルゲン、がん細胞など、自分の体を構成する細胞や物質とは異なる“異物”を見つけ出して排除する“防御システム”です。いろいろな特徴をもった免疫細胞が協力しながら常に異物を取り除いているおかげで、私たちは感染症やがんを発症しなかったり、かかったとしても治すことができます。また、異物の典型的な例がアレルギーの原因物質であるアレルゲンで、花粉症などのアレルギー性疾患にも免疫が関わっています。

免疫には第一の防衛ラインであり、どのような敵（病原体やアレルゲン、がん細胞などの異物）とも戦う自然免疫と、第二の防衛ラインであり、特定の敵だけを選んで戦う獲得免疫が順番にはたらきます。
自然免疫は、侵入してきた病原体や異物をいち早く見つけ出し、種類を問わず排除します。皮膚や粘膜など比較的狭い範囲で活躍する免疫で、近所を常にパトロールしてくれる体の警察のようなものです。自然免疫では、主に白血球の仲間である好中球やマクロファージなどがはたらきます。
獲得免疫は、自然免疫で倒しきれなかった病原体や異物を攻撃するため、それぞれの敵ごとに違う武器である抗体（免疫グロブリン）を大量に作って排除します。
はじめて出会った敵では、武器を作り終えるまでに時間がかかってしまいますが、2度目に同じ敵が侵入した際には、すぐにその敵に合った強力な武器で戦うことができます。獲得免疫では、白血球の仲間であるB細胞（Bリンパ球）やＴ細胞（Ｔリンパ球）がはたらきます。自然免疫や獲得免疫がうまくはたらかず、病原体や異物を倒しきれなかった場合、発病します。