造血幹細胞移植を知る
ドナーの条件について
造血幹細胞移植は、ドナーから造血幹細胞を採取する方法(どこから採取するか)によって、「骨髄移植」、「末梢血幹細胞移植」、「さい帯血移植」に分類されます1) (「造血幹細胞移植の種類」参照)。
非血縁者ドナーからの造血幹細胞の提供は、骨髄バンク※1やさい帯血バンク※2を介して行われます。
そのため、非血縁者ドナーとして造血幹細胞の提供を希望される場合には、これらのバンクへの登録が必要です。
骨髄移植ドナー・末梢血幹細胞移植ドナーの条件2,3)
骨髄移植や末梢血幹細胞移植のドナーとなるためには、造血幹細胞の提供について明確な意思を持ち、十分に理解していることに加えて、年齢や健康状態などの条件を満たす必要があります。
また、造血幹細胞の提供にあたっては、家族の同意が必要です。
血縁者ドナーの場合 |
骨髄移植ドナー1〜65歳※3、末梢血幹細胞移植ドナー10〜65歳※3 (18歳未満や61~65歳のドナーから採取を行う場合には、各施設でより慎重に適格性を判定することが推奨されている)
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非血縁者ドナーの場合 |
骨髄移植ドナー、末梢血幹細胞移植ドナーいずれも20~55歳※4 (骨髄バンクへの登録は18歳から可能、ドナー候補者として適合検索の対象となるのは20歳から)
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〈健康状態に関する条件〉2,3)
- 治療中の病気やケガなどがない
- これまでに次の病気にかかったことがない
がん、血液の病気(白血病、再生不良性貧血など)、自己免疫疾患
(関節リウマチなど)、心臓の病気(先天性心疾患、心筋梗塞、狭心症など)、脳卒中、C型肝炎などのウイルス肝炎、マラリアなどによる感染症
- 血圧が高すぎない(最高血圧151mmHg以上/最低血圧101mmHg以上ではない)、又は低すぎない(最高血圧90mmHg未満ではない)
- 輸血を受けたことがない
- 貧血ではない
- 食事や薬などで重いアレルギーを起こしたことがない
- 過度の肥満がない(体重kg÷身長m÷身長mが30未満である)
- 極端に痩せていない
- 妊娠、授乳中、出産後、流産・人工妊娠中絶後ではない
- [骨髄移植ドナーの場合]腰の手術を受けたことがない
- [骨髄移植ドナーの場合]全身麻酔の影響を受ける遺伝的に特別な体質を持っていない
- [末梢血幹細胞移植ドナーの場合] 太い針を用いた採血の実施に支障となる身体的問題がない
など
さい帯血移植ドナーの条件2,4)
さい帯血移植のドナーとなる妊婦さんは、公的さい帯血バンクと提携している病院・クリニックの産婦人科で分娩する必要があります。
公的さい帯血バンクは、全国6カ所にあり、各さい帯血バンクのホームページで提携している病院・クリニックを確認することができます(詳しくは「造血幹細胞移植情報サービス」をご覧ください)。
なお、次のような場合には、さい帯血移植ドナーとして登録することができないとされています。
〈さい帯血移植ドナーとして登録ができないケース〉
- 多胎(双子、三つ子など)の場合
- お母さんに自己免疫疾患や感染症、妊娠合併症などがある場合
- 近親者に遺伝性の血液疾患がある場合
など
- ※1骨髄バンク:ドナー登録者を募り、骨髄・末梢血幹細胞移植を必要とする患者さんが移植を受ける機会を確保出来るように活動している事業。骨髄バンク事業は、公益財団法人
日本骨髄バンク、日本赤十字社、保健所にて行っている。
- ※2
さい帯血バンク:白血病などの治療のための移植に用いられるさい帯血を保存・供給する事業。ドナーから採取したさい帯血を保存し、さい帯血移植を希望する患者さんへの供給を行う公的さい帯血バンクと、本人や家族の将来的な病気の治療に備えてさい帯血を保存する民間さい帯血バンクがある。
- ※3日本造血・免疫細胞療法学会ドナー委員会が定める血縁造血幹細胞(骨髄・末梢血)ドナー傷害保険加入基準年齢
- ※4日本骨髄バンクが定める骨髄・末梢血幹細胞の提供可能年齢
出典
- 1)神田善伸. 造血幹細胞移植診療実践マニュアル(改訂第2版).南江堂,2022.
- 2)一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会ホームページ. https://www.jstct.or.jp/(2024年5月1日アクセス)
- 3)日本骨髄バンクホームページ. https://www.jmdp.or.jp/(2024年5月1日アクセス)
- 4)日本赤十字社 関東甲信越さい帯血バンク. https://www.bs.jrc.or.jp/ktks/bbc/special/m6_03_00_index.html(2024年5月1日アクセス)