造血幹細胞移植を知る
造血幹細胞移植を受けた患者さんは、数年間にわたって感染症などの合併症への注意が必要となります1)(「造血幹細胞移植後の感染症をはじめとする合併症について」参照)。
退院後の生活では、感染症予防、体調管理・セルフケアによって感染症などの合併症の発症に注意しながら、社会復帰(復学・復職)を目指していきます。
また、造血幹細胞移植を受けて退院された患者さんやご家族の継続的なケアを行う専門外来(LTFU外来※1)を設置している医療機関もあります2)。
造血幹細胞移植を受けた患者さんは、細菌・真菌(カビ)やウイルスによる感染症を発症しやすいため、生活の中で感染症予防に取り組む必要があります(「感染症の予防対策:退院後の感染症予防」参照)。
造血幹細胞移植後は、規則正しい生活(十分な睡眠や休息をとる、バランスの取れた食事をとるなど)を心がけ、体調を管理することが大切です。
感染症などの合併症の発症が疑われる症状が現れた場合には、速やかに医療機関へ連絡する必要があります。
同種造血幹細胞移植を受けた患者さんは、退院後にGVHD※2(「移植関連合併症:移植片対宿主病(GVHD)」参照)を発症することがあります。皮膚のGVHD発症を防ぐには、皮膚の刺激や乾燥を避けて保湿することが大切です。
また、退院後に起こる可能性のある合併症の中には、別の種類のがんが発生する「二次発がん」があります。直射日光はGVHDや皮膚がんの原因となるため、外出時には紫外線対策(長袖・帽子の着用、日焼け止めクリームの使用など)が必要です。口腔がんや食道がんなどにも注意が必要で、人間ドックなどで定期的な検査がすすめられます。
監修:内田 直之先生 国家公務員共済組合連合会虎の門病院 血液内科 部長