武田薬品工業株式会社

PID患者さんとご家族へのインタビューへ

医療関係者とのコミュニケーション
主治医に要望を伝える際の工夫点

能動的に診療を受けることが大切で、主治医へ遠慮なく要望を伝えてください。そこに受診の目的や想いが伴っていれば、必ず声は届きます。

Yさん(50歳代)

原発性免疫不全症(PID)の病型は、分類不能型免疫不全症(CVID)

専門医(小児科)への紹介は医療相談室(医療連携室)のサポートを得る

PIDの専門医である小児科の先生に診てもらうために紹介状が必要だったのですが、そのとき通院していた病院の先生に、成人は小児科に紹介できないと言われました。そこで、病院の医療相談室に相談して仲介いただいたところ、受け入れ先の小児科が受け入れるならば、紹介状を書くというところに落ちついたので、今までの経過をまとめた書類を受け入れ先の小児科の先生にFAXでお送りすることになりました。結果として、受け入れてもいいとのお返事がきて、紹介状を書いてもらえることになりました。

紹介先の医師には経過だけでなく、受診目的や想いを伝える

小児科の先生に送った書類には、今までの経過だけではなく、なぜ小児科を受診したいと思っているのかということについても書きました。例えば、自分はPIDの可能性があって遺伝子検査を希望していることや、今の症状で長く振り回されて、いろんな病院を受診したけれども原因がわからないこと、精神的にも実はすごく落ち込んでいるといったことを文章化しました。それがよかったのかなと思っています。大学病院のような大きな病院は診察時間も短いですし、今までの経過だけではなくて、受診目的や想いを医師に短時間で伝える工夫も重要だと考えています。

スムーズな診療を受けるためには看護師さんとの関係も大切

新型コロナウイルスに感染したことがあったのですが、人工呼吸器を使用するほどの症状ではなかったので、入院できませんでした。そのときの免疫グロブリンの値が低かったので、先生に免疫グロブリン補充療法をお願いしたのですが、必要ないと言われてしまいました。とてもつらい状態だったので、すぐにでも県外の別の免疫内科を受診することを検討し、通院している病院の看護師さんにそのことを話したところ、先生に伝えてくださったようで、血液内科の先生と小児科の先生が話し合って、転院せずに免疫グロブリン補充療法を受けられることになりました。

セカンドオピニオンは患者の権利

「そんなふうに能動的に診療を受けられるのは、お母さんが医療従事者で医学的知識があるからですごいこと。でも、普通はそんなことは言えないし、言ってはいけないと思っている。主治医に言われるままに受動的に診療を受ける人が一般的だよね。僕自身もお母さんと同じことをできる自信はないよ。」子どもにこんなふうに言われてハッとしました。
確かに医学的な知識が十分でなく、主治医の方針でなかなか治療が進まないと困っている方はいらっしゃるだろうと思います。そんな方にお勧めしたいのが、セカンドオピニオンです。セカンドオピニオンに関しては、今の主治医への信頼関係が崩れるのでは、次に受診しにくくなるのではと考える人もいますが、結果として適切な治療を受けるきっかけにもなりますし、セカンドオピニオンは患者の権利であることを知っていただき、選択肢の一つとして検討されるとよいと思います。

専門医のアドバイスを主治医と共有するための工夫

現在、私は同じ施設内で主治医である血液内科の先生と、PIDを専門とする小児科の先生の2名に診ていただいており、免疫グロブリン補充療法を実施しています。次回投与の直前になると、副鼻腔炎の症状が強く、鼻水も黄緑色になり、咽頭の炎症が起こり、喀痰も出るなど、症状が悪化することに悩んでいました。そこで私は小児科の先生に相談し、カルテにコメントを記載していただき、そして血液内科の先生には、次回投与の直前には副鼻腔炎の症状が悪化することを詳しく伝えています。このように非専門医である血液内科と専門医である小児科が連携しやすいように、小児科の先生にコメントをカルテに残してもらうことなどで、希望する治療がスムーズに受けられるようにしています。