ライフイベント準備
病気を持ちながらでも、職場に理解され貢献できるような社会になってほしい
私は時間や作業内容が限られた環境で快適に働いています。病気があっても幸せに社会にかかわっていけるような働き方が増えていくといいなと思います。
Sさん(50歳代)
原発性免疫不全症(PID)の病型は、高IgE症候群
イベントには体調を見極めて参加する
息子が通っていた幼稚園では毎年、みんながどろんこになって遊ぶ、どろんこまつりというイベントがあり、今思えば母親として配慮に欠けていたと思うのですが、体調に問題がなかったときに1回だけ参加しました。幸い体調を崩すことはなかったのですが、その後、医師に相談する機会があり、どろんこ遊びについてお聞きしたところ、土にはさまざまな細菌や真菌が含まれるため勧められないとのことでしたので、その後は参加を控えました。それ以降、親子ともども土やホコリなど、神経質になりすぎない程度に気をつけるようにしています。よい体調をなるべく維持していく工夫を日々の生活ですることが大切なのではと考えます。
学校とは、症状があれば早めに連絡してもらう体制を作っておく
息子が小学校に入学するときは、病気について事前に保健シートに記載し、入学後は保健の先生や担任の先生が、より詳しく情報を共有する場を設けてくださいました。幼稚園でも集団生活をしていて特に問題もなかったので、基本は他のお子さんと同じで問題ないと考えていましたが、けがをしたり、発熱したりといった場合に早めに連絡していただけるようにお願いしました。どの学年のときも、先生方にはよく理解していただき、ありがたかったです。小学校高学年の頃、入院で休む期間が長くなったときに、先生だけでなくお友達にも病気のことを伝えてもらいたいか本人に聞いたことがありますが、そのときは「伝えなくてよい」という返事でした。普段は他のお子さん達と同じように生活できていても、同じようにできないことが少しずつ出てきたりします。他の子と違うことを不安に思う気持ちだったのかなと理解しています。本人の気持ちを聞かずに進めなくてよかったと思います。
まずは挑戦してみることも大切
息子が中学校に入学するときは、小学校から病気に関する情報が共有されていたこともあり、学校側と小学校ほどは詳しく情報共有はしませんでしたが、先生方はおおむね理解してくださっていたと思います。中学校では陸上部に入部したいと本人から希望がありました。体力もついてくるので発散の場も必要だと思い、調子が悪くなったときは無理しないことを事前に約束したうえで、挑戦させることにしました。部活を継続するうえでは、体調や本人の性格だけでなく、先生や部員との相性や雰囲気など、関連するさまざまな要素があり、最初からわかっていることは限られています。どこまでできるのかわからないことも多いので、これはダメ、と最初から決めつけるのではなく、様子を見ながらいろいろと決めていくようにしてきました。結果として陸上部は途中で退部することにはなりましたが、息子の経験としても、まずは挑戦させてよかったと思っています。
病気を持ちながらでも、職場に理解され貢献できるような社会になってほしい
私は大学卒業後、一般企業に就職したのですが、湿疹がひどくなったこともあり、5年ほどで退職しました。その後、家の近くで事務職の嘱託職員の募集を見かけて応募し、採用していただきました。嘱託期間が終了してからも継続して働かせていただき、結婚・出産でいったんは離れましたが、息子が小学生になったときに、同じ職場で再雇用していただき、週2回程度働いています。自分だけではなく、息子のことでも休まなければならないことがありますので、病気については職場に話しています。息子が入院したときには、午前中は出勤して午後は病院に行くこともありました。職場に理解があることに感謝しつつ、配慮に甘えすぎることのないように、仕事はしっかり続けていきたいと思います。いずれにしても、時間や作業が限定された今の働き方が私にはあっていると感じています。
私の場合は、よい職場に巡り会えてとても運がよかったと思っていますが、社会全体でこういう働き方をより選択しやすくなればいいのではと思います。仕事を細分化して、この部分はこの人が、別の部分は違う人がするといった具合に、仕事をパーツで選べ、高齢の方や、子どもがまだ小さくて短時間しか働けないような方などもかかわりやすいような仕事の形態が増えることが理想だと考えます。私の息子が将来フルタイムで働けるかどうかはまだわかりませんが、病気があっても幸せに社会にかかわっていけるような働き方が増えていくといいなと思います。