臓器移植を知る
脳は、「大脳(だいのう)」、「脳幹(のうかん)」、「小脳(しょうのう)」という3つの部分に大きく分けられます(図1)。
脳死とは、これら3つの部分すべての機能が失われた状態です。
脳幹の機能が失われた場合、二度と元には戻らなくなります。
脳死は、植物状態と混同されることがありますが、脳死と植物状態は違うものです(図2)。
植物状態は、脳幹の機能が残っているため、人工呼吸器に頼らず自分で呼吸ができる場合が多く、回復する可能性もあります。
脳死下の臓器提供では、法的脳死判定(法律に基づいた脳死判定)が2回行われます。
法的脳死判定は、必要な資格と脳死判定に関して豊富な経験を持つ臓器移植にかかわらない医師2名以上で行います。
法的脳死判定では、5つの項目について確認します(表)。
1回目の脳死判定が終了した時点から6時間以上(6歳未満では24時間以上)経過した時点で2回目の脳死判定が開始され、1回目と2回目の脳死判定ですべての項目を満たすことが確認された場合に脳死と判定されます。
なお、生後12週未満の場合、法的脳死判定の対象にはなりません。
確認項目 | 確認方法 |
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深昏睡※1である | 顔面に痛みなどの刺激を与えて、反応しないことを確認します |
瞳孔※2が開いたままである | 明るい場所で左右の瞳孔の大きさが4mm以上あり、刺激を与えても反応しないことを確認します |
脳幹の反射(生命維持にかかわる反応)が消失している |
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脳波活動が消失している | 脳波検査を行い、脳波が平坦であることを確認します |
自発呼吸※4が消失している | 人工呼吸を中止した状態で、呼吸がないことを確認します |
監修:石田 英樹先生 東京女子医科大学病院 移植管理科 泌尿器科 教授