臓器移植を知る
事故や病気などにより入院した病院で、最善の救命治療を行ったにもかかわらず回復の可能性がない場合、医師によって脳死とされうる状態又は心臓停止により再び生命を取り戻すことができない状態にあることが確認されます。
家族に対して、臓器提供の機会があること、臓器移植コーディネーターによる説明が受けられることが告げられます。
家族が臓器移植コーディネーターによる説明を希望する場合には、JOT※1又は都道府県から派遣された臓器移植コーディネーターが、脳死下・心停止後の臓器提供に関する説明を行います。
脳死下・心停止後の臓器提供に関する家族の総意が得られた場合には、承諾書など必要書類を作成します。
ドナー候補者から採血し、移植のために必要な検査を行います。
脳死下の臓器提供では、法的脳死判定(脳死判定医による法律に基づいた脳死判定)が2回行われ、2回目の判定終了時刻が死亡時刻となります。
希望がある場合は、家族が法的脳死判定に立ち会うこともできます。
心停止後の臓器提供では、法的脳死判定を受ける必要はなく、脳死の診断を行う場合には、一般的な脳死判定に基づき行われます。
心停止後の臓器提供においてドナー候補者が一般的な脳死判定で脳死と診断され、家族が術前処置(臓器障害などを最小限にとどめるために臓器摘出手術前に行われる処置3)の承諾をしている場合には、術前処置後に死亡が判定されます。
脳死と診断されていない場合には、死亡が判定された後に術前処置が行われます。
臓器移植手術が行われる移植施設において臓器提供を受けるレシピエントが決定すると、臓器摘出手術が行われます。
摘出された臓器は、レシピエントが待つ移植施設に搬送されて移植されます。
摘出手術終了後は丁寧に縫合し、家族の元へ戻ります。
精神科の医師などがドナー候補者に自発的な臓器提供の意思があることを確認した上で、総合的に生体ドナーとして適しているかどうかを判定します。
ドナー候補者の血液型、臓器機能、その他の基礎疾患の有無などについて、検査での評価を踏まえて十分な検討が行われます。
生体ドナーとして適していると判定された場合には、臓器摘出手術が行われます。
監修:石田 英樹先生 東京女子医科大学病院 移植管理科 泌尿器科 教授